
- 発売日: 2014/08/01
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最初は「なんだこりゃ!? こんなの俺たちのケビン・ベーコンじゃない!」と思わされますが、最後には「なんだ、やっぱり俺たちのケビン・ベーコンだった!」と安どさせられる、そんな映画です。
ベーコン演じるニックは企業の保険担当。妻とふたりの息子の核家族という「普通」の幸せに安住するお父さんでしたが、ある日、将来有望な長男を町のクズどもに理由もなく殺されてしまう。お父さんブチ切れ、復讐の鬼と化します。
ところがですよ。ニックはただのサラリーマン。対するクズどもは殺しも厭わない。重火器の扱いも慣れたものです。「お父さん、殺れんの?」と誰でも思うはずですよ。
たとえばジャウム・コレット=セラの快作「アンノウン」(同名映画との混同に注意)なんかはスマートです。リーアム・ニーソン演じる記憶喪失の学者が突然ゴリゴリのカースタントをこなせるようになって観客は「は?」となるわけですが、それもあとあと謎解きがちゃんとなされるわけです。
一方でこの「狼の死刑宣告」は、素人が突然バリバリのアクションができるようになるところをノーエクスキューズで突き進みます。さすがです。ベーコンですから。
クライマックスで、ついにクズどもを追い詰めたニック。そこでもさらにギアが一二段あがり、いよいよ素人ではどー考えても無理な、肉片飛び散るガチガチのアクション(でもこれはこれで◎)で畳みかけます。もうここまで来たら観客は「ベーコンなんだからしかたねーわ」「ベーコンだもん。相手が悪いよ」と思うしかなくなるわけです。
最後にエンドロールでもう一度、「ベーコン」の文字を確認して「ベーコンだもん。そりゃそうなるわ」とわれわれ観客は独り言ちて納得する他ないのでした。