映画『おとなの事情』は2017年3月新宿シネマカリテより全国順次公開予定です! pic.twitter.com/55U488IARI
— 映画『おとなの事情』 (@jijyou_movie) 2016年11月8日
電話とは名ばかりで、いまやスマートフォンは、ぼくらの人生の何から何まで飲み込んでしまい、身体の一部になってしまいました。その中は、他人に開陳できるものばかりではないわけで。
本作は、誰もがその小さな箱の中に秘密を閉じ込めた現代のストーリー。月食の夜にあつまったのは、幼なじみの気のおけない男4人とその妻たち計7人です。他愛のないディナータイムになるはずが、あるひとりの提案でスマホを見せ合いっこすることに。そこから事態は、狂乱と爆笑の渦へと突き進んでいくのです。
「おとなの〜」とつくと、ぼくなんかは大好きな「おとなのけんか」を想起されるのですが、奇しくも似ているところがある。夫婦が出てくるコメディであるし、マンションの1室を舞台にしたワンシチュエーションで演劇っぽいところも似ています。
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うっかり軽い気持ちで乗った遊びでしたが、7人はかかってくる着信音にドキドキです。みな、自分のスマホが鳴ったときに出る「え、なによ……」という真顔がたまんない。もうそれ、疚しいことがあるのバレてますから!
些細な嘘が、予期せぬ方向に転がり始めてとんでもない事態になるあたりはかなり笑えますが、そこから結構シリアスなトーンへ路線変更。ゲスゲスな関係がつぎつぎと露わになっていく中で、ラストにもう一つデカイ花火があがるので、お見逃しなく。ここまできたらもはやサイコサスペンスです。
観終えた観客は人のスマホの情報なんてもうこりごり。「人は誰しも秘密があって、あえて面白がって探るものじゃない」という極めて「大人」な結論にたどり着くことでしょう。
それから、この映画は最後に解決されない大いなる違和感を残していきます。散々ひっちゃかめっちゃなった現場が、ある意味で「リセット」されるのです。それはどういう意味なのか。
このブログで勧める映画はたいてい「面白いから観てみて!」という気持ちで送り出しているのですが、この映画に関してはちょっとちがいます。「ちょっとごめん。。観てみてくんない?」という困惑まじりの「お願い」と受け取ってください。ぜひぜひ観てもらい、コメント欄でも解釈を教えてもらいたいと思います。それぐらい、宙ぶらりんの気持ち悪い後味が残る作品です。