いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

いつも心に「どすけべホイホイ」を


最近Twitter界隈で、あるイラストシリーズが問題視された。現実で遭遇したとみられる見ず知らずの女子中高生をイラスト化し、それについてコメントを加えた画像を投稿していた絵師のユーザーが、ひんしゅくを買っていたのだ。

壱河ふぇーす氏 JK観察旅行記まとめ - Togetter


今回大きな騒動になって初めてこうしたイラストを知ったのだけれど、ここまで炎上したのはやっぱりフォーマットに気持ち悪さがあったのではないか。

各作品には、キャラクターの体の部位に矢印がつけられ、コメントが付されている。それらのほとんどが、性的な意味での評価、感想で、男の視線とそれが内包する思考回路をご丁寧にもセットにして具現化してくれているといえる。


そしてこの(無断で)描く男と描かれる女の構図から否が応でもあらわになってしまうは、見る男と見られる女という潜在的な非対称性だ。


この一方通行の視線について考えるとき、ぼくの頭をいつもよぎるのは「どすけべホイホイ」である。
「どすけべホイホイ」とは、テレビ朝日のバラエティ番組「ロンドンハーツ」で夏季限定でやっている、ちょっとしたお色気ドッキリ企画だ。

ドすけべホイホイ
ホイホイガール(セクシーな若い女性)が席に着き、上着を脱いだ時点から、制限時間5分でホイホイガールを一度もチラ見しなければ、賞金100万円が貰える。チラ見をするごとに賞金が減額され、賞金が0円(チラ見12回)になるか3秒以上見続けたら、強制的にゲームオーバーになる。ゲームオーバーとなった場合はホイホイガールからキツイ罵声(淳からの伝言)を浴びせられたり、係員に事務所(モニタールーム)に連れて行かれ、シールを貼られる罰ゲームが待ち構えている。当初は一般人がターゲットだったが(当時は10万円が最高金額だった)、後に若手芸人に仕掛けられることが多くなり、殆どはゲームオーバーとなる。

金曜★ロンドンハーツ - Wikipedia


「ドすけべホイホイ」以前から、お色気ドッキリはテレビの定番だった。仕掛け人女性がターゲットに胸の谷間やパンチラ寸前のミニスカを見せつけ、困惑させるのだ。

ただそれは、あまりにもオーバーすぎて現実感はなかった。「どすけべホイホイ」が画期的だったのは、まずチラ見のシチュエーションに「ついチラ見してしまいそうな、ありそうなリアリティ」が備わっていることが大きい。そしてもうひとつは、チラ見をしてしまうターゲットらが何らかの方法で罰せられているということ。この企画は男の性的なチラ見を断罪したのである。


この企画で印象的なのは、ほとんどのターゲットが晒してしまうはずかしい「チラ見顔」だ。この企画によって、チラ見をするとき人は怖い顔になっていることを知った。ほとんどのターゲットは、したり顔で鋭い流し目を対象の女性に向ける。あの鋭さの裏には、自分が実は見られる側だとはつゆほども思わない油断があるのだろう。実はこの企画で最もお宝だったのは、女性のさらすエッチな肢体ではなく、多くの男性芸能人がさらしたそうした素顔だったかもしれない。


この企画は、視聴者に「チラ見」に対しての深い深い罪責感を植えつける。街なかでチラ見にするようなシチュエーションに巻き込まれたら、いつもこの企画が思い起こされ、頭のなかで「ほいほーい!」(CV田村淳)とチラ見回数のカウントがとられているような気がしてくるのだ。

でもぼくは、そうした罪悪感は少しぐらいあってもいいものだと思っている。
赤の他人のことをチラチラ見ないというのは、あくまでもエチケットの問題であって、それを守らなくても基本的に罰せられることはない。そして罰せられないところに欲求があったとき、人間は易きにつくものでそれに抗うことは難しい。罰せられない以上、そこでは個々人の倫理観が物を言うことになる。

そういうとき、ぼくらは「どすけべホイホイ」を思い返すべきなのだ。チラ見がしたくなるシチュエーションでも、心のなかの田村淳にモニタリングされていると思うのだ。チラ見をしてしまった瞬間、「ほいほーい!」と賞金が減額されていく。

いつもこころに「ドスケベほいほい」を。
あなたが女性をチラ見をしているとき、あなたの倫理観がチラ見されている。