
- 作者: NHKスペシャル取材班
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2016/11/10
- メディア: Kindle版
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本書は、いま受信料の問題とかなんやかんやでもっともストレスを溜めていそうな会社、NHKの取材班が、ストレスの最新研究を追った一冊。
実際にストレスが脳にダメージを与え、それを遠因として死に至るおそれがある病を誘発する、というメカニズムを追います。「キラーストレス」というのは、下手したらストレスで死ぬぞという意味を込めた著者らによる造語らしいですが、本書ではそれが嘘でないことを証明されます。
面白かったのは、離婚やリストラ、家族の死といったわかりやすい不幸だけでなく、結婚、転職、成功といった、一見するとストレスになりえないポジティブなものもストレスを生み出すもとになる、という話です。
なぜそうなるかというと、結婚も転職も「変化」だから。変化はそれ自体、人間にとってはストレスになるらしいんです。ぼくはかなり鈍感な方で、ストレスではげ散らかすとかはないのですが、それでも、「なんかストレス溜まってんなあ」と実感することがある。たしかにそういうとき、生活や仕事でささいな変化があったりするんです。
じゃあ一生童貞無職が最強じゃね? って思いましたが、あっ、そういう話ではないんですね。
変化の早い現代は、原始の時代に比べたらストレスだらけ。昔だったら一生槍をもってマンモス追いかけてるだけだったぼくも、今では毎日スマホで目まぐるしい情報の移り変わりを体感しているのです。
ストレス反応には脳の中の扁桃体という部位が密接に関係するそう。扁桃体は信号やネオン、人ごみ、騒音でも刺激されるといいますから、都心部の方が田舎よりストレスフルといえるとも。
後半ではそんなストレスにどうやって対策すっべ? ということに話が移ります。運動の効果やストレス対処になる食生活、生活習慣なんかはそりゃそうだろうねえという記述しかないですが、そのあとに続く「コーピング」や「マインドフルネス」という、なにやら聞きなれない怪しい言葉については面白かったので、ご一読あれ。
この本を読んで何が一番の発見だったかというと、今まではストレスって、それの元になっている問題を解決するか、ただただ耐えるしかないと思っていたんです。
けれど、この本を読むとそれだけではアカンのだなと気づきました。もちろん問題の解決も重要ですが、ストレスはストレスとして自分の中でマネジメントしていかなきゃな、気づかされました。