いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【書評】イッて失神した女性だけの体験談集 データハウスが放つ奇書「SEX失神マニュアル」


この本はすごい。なにせセックスやオナニーで失神した女性の体験談だけを集めた本なのだ。セックスで失神である。どうだこの中学生並みの想像力。しかもそれを大の大人が一冊の本にしたのである。本書は、辰見拓郎というなんともいえないセンスのペンネームの風俗ライターと、三井京子という自称「Hなライター」が、実際に失神体験をした74名もの女性のインタビューをまとめている。

SEX失神マニュアル

SEX失神マニュアル

帯には一応「限界を超える興奮、快感でもたらされる『失神』体験! その超快感を生むテクニック、シチュエーションを200点以上の写真とイラストを用いて解説した初のハウツーガイド」とある。ハウツーセックス本なんていくらでもあると思うが、この「初」というのはもしかして「失神」にかかっているのだろうか。その針の穴を縫うような狭さのマーケティングセンス!

しかしマニュアル本と考えても、本書はなかなか厳しいものがある。ためしに27歳の会社員、坂本温子さんの体験を抜き出してみよう。

「彼氏がいるんですけど、うちの会社にアルバイトで来ていた20歳の大学生とHしちゃったんです。凄いことされて、興奮して気持ち良すぎて失神しました。忘れられない経験でした。彼氏とのセックスは至極ノーマルで、大学生の彼は知識が豊富で私を悦ばせてくれるんです・・・」

おい早くマニュアルを解説しろという話なのだが、本書では実践的な情報にはほとんど触れず、全編にわたってこうしたエッチな体験談が続く。どちらかといえばそれは、アサヒ芸能やら週刊大衆、週刊ポストといった、女の人に相手にされなくなったオジ様方がドキドキワクワクしてページをめくる雑誌記事に近い。いやむしろそちらとしては優秀で、単色カラーだがヌードモデルのセクシーカットが全ページに挿入されている。そっちと張り合ってどうするというツッコみはこの際なしだぜ。

とにかく、圧倒的に間違った方向に突き進む情熱だけは伝わってきて、なんだか元気が出てきた。この本でデータハウスの底力を知った次第である。