「会社のバレンタイン」が苦手だ。別に、自分はチョコがもらえないから、とかそんなベタな理由ではない。
幸い、今までの会社はどこも「女がコピー、お茶汲み」みたいな古臭い性役割が残っているところはなかった。今の会社もそう。極端な話、性差なんて「トイレが別々」ぐらいしかない。ところが、なぜかこのバレンタインの文化だけは残っている。
普段、性差をほとんど意識していないのに、バレンタインにチョコをもらうと、「いちお、女としてやらせていただいてますんでね! バレンタインデーやらせてもらっておきますね!」という無言のメッセージを受け取ったようで、なんだか申し訳ない、いたたまれない気持ちになってくるのだ。誤解を恐れずにいうと、ぼくからすればあれは「オカンにもらうチョコ」に近いのだ。
そんな気遣いは、異性としてその先に何か発展性がある相手、あるいは発展してほしい相手にやりなよ、と思うのだ。
「性差なんて意識していない。考えすぎだ」と言われるかもしれない。では、「バレンタインデーにチョコを渡す男」が増えただろうか?
ホワイトデーはやらないのか、と言われればやるが、それは反対給付、お返しの意味合いが強い。裏を返せば、ホワイトデーをやらなければならなくなる理由がこのバレンタインデーなのだが。
幸い、最近では「友チョコ」という概念が普及しているという。早く、「贈りたい(同性異性に限らず)人が、贈りたい相手」に贈る文化になればいいのに。
ああ、今日は出社がいつも以上に憂うつだ。