いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【超遅報】異例の「逆転現象」が起きてしまった「女芸人No.1決定戦 THE W」

「今さら性別にこだわる意味ってあるの?」と大会前から懐疑的な声も聞かれたTHE W。大先輩アジアンらを差し置いてのゆりやんレトリィバァの堂々たる優勝で幕を閉じた。

主客が逆転してしまった副音声問題

一定数の視聴者が「副音声」に惹かれてチャンネルを回したことは、偽らざる事実だろう。今大会では副音声の解説をダウンタウン松本人志と、彼の幼馴染の放送作家高須光聖が担当。今回の「声だけ聞こえてくる」という状況で、かつてふたりが担当したラジオ番組「松本人志の放送室」(TOKYO FM)を懐かしんだ視聴者も少なくなくなかったはずだ。

ところがだ。視聴していると、松本と高須の解説が気になってくるのだ。松本のネタへのコメントが注目されるのはM-1でもお馴染みだ。しかしTHE Wの場合は副音声という性質上、ふたりはネタ中の会話も許されている。すると、ネタ以上に「ネタを見ながら繰り広げられるふたりの会話」に興味が持っていかれるという「逆転現象」が起きてしまった。大会の審査員がお世辞にも「ガチめ」でなかったことも影響してだろう。お笑い界の表舞台と裏方のトップクラス、松本と高須がネタに何を言っていたかが、一つのコンテンツとして成立してしまったのだ。

そうなると、面白いネタよりもつまらないネタのほうががかえってふたりの面白いコメントを引き出してしまう、という皮肉な事態に発展する。名誉のために誰とはいわないが、「これが…決勝に???」というネタが、副音声では一番盛り上がっていたし、大会を通じてもハイライトとなってしまった。それはまるで、「水曜日のダウンタウン」で一癖ある素人をいじるVTRに松本がワイプ越しにツッコんでいるかのようだ。いや、実際彼女は素人だったし。

ブスデブネタ問題

女芸人といえば、かつてはブスやデブ、モテないことをネタにするのがほぼ必須であったし、現在も少なくない。しかし、昨年のキングオブコントでブレイクしたにゃんこスターアンゴラ村長がその件に異を唱えたのが記憶に新しい。

「顔とか生まれとか変えられないものをさげすむ笑い」とそうでないものの線引きは難しい。たとえば、優勝したゆりやんだって、あの体型でなくても活躍できたのか、といえばそうとは言い切れない。
ただ、今回の「THE W」を見るかぎり、デブはともかくブスをブスだと指摘するネタが「笑われない」とまでは言い切れなくても、「笑われにくくなっている」ことは事実のようである。

改善点は多々あれど、一番廃止すべきは…

大会として、改善点が山のようにあった。たとえば、爆笑問題もラジオ番組で指摘していたが、結果発表前に毎回審査員のうち一人だけどちらに票を入れたかを公開し、コメントさせるという段取りは不要だろう。
しかし、こうした大会は第1回から完璧なフォーマットのわけがない。M-1だって悪しき「観客投票」を経ての今がある。改善すればいいだけの話だ。
そして、THE Wにおいてもっとも改善すべきなのは、副音声だ。あれが気になって気になってしかたない。そして面白すぎる。だからこそ、副音声を撤廃すべきだ。

副音声をもしあのまま温存するならば、(開催されるなら)来年も再来年も、副音声に支配される大会に成り下がってしまうことだろう。それは何よりも、出場者にとって不幸なことでしかない。