いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】ウォーリアー

https://m.youtube.com/watch?v=YVF808nUU20:Movie

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アツい…アツすぎる……‼

ジェエル・エドガートン、トム・ハーディ主演、「48時間」などが有名なニック・ノルディ共演の本作「ウォーリアー」は、機能不全家族で育ったふたりの兄弟の不器用すぎる再会を描いたアツい一作。

最初の舞台はあるオンボロアパート。そこは、ノルディ演じる父親が、かつて酒と女で壊した家族の残骸の眠る場所です。物語は、そこに彼の次男坊のトミーが十何年ぶりに戻って来るところから始まります。
飲んだくれのクズオヤジから一緒に逃げてきた母親を亡くし、居場所を戦場に求めたトミー。父親の前に再び現れた彼はどこか影のある佇まいで、何か得も言われぬ事情を抱えていそう。彼の父親のもとに舞い戻ってきた目的は何なのか?
一方、長男のブレンダンは貧しいなりに家族を築き、安月給の教職で必死に耐え忍んでいる。しかし経済的には厳しく、彼は家族を養うため、半ば見世物小屋のような危険なインディーズのリングに上がり始めます。

そんな2人が運命に引き寄せられるかのように、別々の事情から新興の総合格闘技イベント「スパルタ」で再会することになります。


――兄貴はあのとき助けてくれなかった!俺の兄弟は海兵隊だ! 

ヘイ!ブラザーひさしぶり!とは当然なるわけもなく、トミーは苦しいときに手を差し伸べてくれなかった兄ブレンダンへの怒りをぶつける。もちろんブレンダンも、トミーのことは気にかけていました。すべては父親のせいなのです。

そんな言葉では分かり合えなかったふたりが、期せずしてオクタゴンの中で拳を交えることになる。


たまらないのは怒涛のラスト10分です。言葉ではわかりあえず、文字どおり拳と拳で語り合う兄弟。お前ら!なんて不器用で、最高なやつなんだ!
映画自体、どんどん無駄な言葉が消失していき、ついにはラスト数分はほとんど誰もしゃべらない領域に入る。本当にいいたいことは、言葉などいらないといわんばかりです。
総合格闘技の描写はかなりリアルです。なにより、主演のふたりの作ってきた体がちゃんMMAぽいんですね。ガチ感を出てます。とくにトムハはもともとずんぐりした体型とあって、「なんかUFCで観たことある気がする!」と錯覚するほど。
そして大団円へ。ぼくはあんなせつないチョークスリーパー、今までみたことありません。

完全な和解でなく、かすかな心の交流の兆しを醸し出すラストも最高。この兄弟はこの先どうなるのだろう。上手くやっていけるのかな? 上手くやっていってほしいな! というところで終わる絶妙さです。無駄な付け足しや無粋な言い訳などありません。
世の仲の良いきょうだい、仲の悪いきょうだい、どっちでもない兄弟、一人っ子、要するに全ての人に見てほしい一作です。