いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】ロスト・バケーション

この時期にぴったりのサメ映画です。美人医大生が、ふと人生に嫌になって訪れたメキシコの人知れぬリゾート。サーフィンで気分転換していたところ、突然巨大なサメに襲われます。一命はとりとめましたが、彼女が取り残されたのは直径数メートル、海面からわずかに顔を出した岩礁の上でした。獲物の捕食を今か今かと待ちわびて周遊する巨大で獰猛なサメとともに。

本作「ロスト・バケーション」の特徴は、ほぼワンシチュエーションで通してるとこです。そういうのって、結構間が持たなくなるものですが、これがなかなかどうして。適度にドキドキする場面が配置されているため、全然ダラけてこない。さすがぼくが大好きな「アンノウン」を撮ったジャウム・コレット=セラです。

サメ映画の成功のカギはやはり、サメですよね。サメをいかに怖く見せるか。本作はそれに成功していると思いました。何が怖いかというと「海に落ちたら即アウトだ」「海は完全に相手の領域で、どうしようもない」というサメの絶対的な優位性、人にとって絶望的な状況だということですよね。それをいかに説得力をもって描けるか。本作のサメはそんな超自然的な描写はないにも関わらず、それを上手く描けている。

それに対して、非力で捕食対象の人間はどう対抗するのか。わずか数平方センチのセーフティゾーンの中で、知恵をもって対抗するのです。自然vs人間。これほどまでにわかりやすく、プリミティブな対決もないでしょう。