ハウス・オブ・カードが面白いよ
いまさら感あるかもですが、最近『ハウス・オブ・カード』にハマっています。ケヴィン・スペイシー主演、デヴィット・フィンチャー監督による政治ドラマです。
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アメリカでVODが覇権を握るとともに、海外ドラマが映画を脅かす人気だというのも見聞きしていましたが、いやー面白い。こんなにハマったのは『アルフ』以来ですよファーハッハッハッ(VC所ジョージ)。
1話ごとに停滞せずに話が展開し、クライマックスには興味を引き立てるクリフハンガーがもちろん用意される。1本で完結する映画とちがい、連続ドラマはつまらないと途中で切られる恐れがあります。そうした映画よりシビアな環境が、かえって面白い作品を生み出すことになっているのかもしれません。
さて、そんななか『ハウス・オブ・カード』ですが、一言でいえば「政治も男女もドロドロ」系と言いましょうか。特筆すべきは、製作総指揮にボー・ウィリモンが名を連ねていることです。この方、ぼくの大好きな映画『スーパー・チューズデー 正義を売った日』の原作者なのです。
そしてこの『スーパー・チューズデー』こそ、ぼくに「政治も男女もドロドロ」系の面白さを気づかせてくれた快作です。こちらもぜひご一覧を。
スーパー・チューズデー ~正義を売った日~ [Blu-ray]
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『ハウス・オブ・カード』ではウィリモンの脚本に、フィンチャーのジメジメして生きてくのが辛くなりそうな暗い世界観が見事に調和しています。
他にも、たとえば2002年版「白い巨塔」の前期(財前教授がのし上がっていく過程)が好きだ、という人は間違いなくハマるでしょう。
政治が舞台であり小難しく思われるかもですが、最低限わかっておけばいいのは、「取り引きとはなにか」ということだけです。このドラマは徹頭徹尾、取り引きでストーリーが動いていきます。取り引きとは、自分が相手の要求を叶えるかわり、相手の要求を自分が叶えてあげる、ということ。
スペイシーが演じるのは、民主党(実在する政党なのがすごいですよね)の院内幹事を務めるフランク・アンダーウッド下院議員。フランクはその恐るべき狡猾さと口のうまさによって、自分の思うがままに議会内外での「取り引き」をつぎつぎ成立させ、権力の中枢へと接近していきます。
ところが、取り引きがビリヤードのように玉突きが連鎖していった先で、結局誰かが損をしてしまうこともある。取り引きはいつも対等であることが原則ですが、フランクはその損を弱いものに覆い被せてしまいます。その弱い者とは、さまざまな関係性の中に存在する。例えばそれは男/女であったり、夫/妻であったり、上司/部下、弱みを握る者/弱みを握られる者といった関係性の中に……。
フランクは巧みな手腕で議会内外の舵取りをすすめていきますが、そのプロセスでの彼による取り引きの「不履行」が積もりに積もり、弱い者たちが怒り、反旗を翻します。そこからドラマはさらに、加速度的に面白くなっていくのです。
このドラマを見ているとわかりやすいのは、「取り引きの不履行」は必ず我が身に返ってくるということ。ちなみに、ドラマの出発点も、フランク自身が新政権発足時には国務大臣に任命してもらえるはずが、してもらえなかったという「取り引きの不履行」があります。
フランクが自ら積み上げ、着々と高くなっていく「ハウス・オブ・カード」(=砂上の楼閣)の行く末に何があるのか、目が離せません。シーズン4までリリースされているのでぜひともご一覧あれ。