批判でも同情でも更生でもなく「我慢できず覚醒してしまう」問題から考えることの重要性
お笑いコンビ、キングオブコメディの高橋健一が逮捕された件が大きな話題になっています。
東京都内の高校に忍び込んで女子生徒の制服などを盗んだ容疑で、自宅からは大型のポリ袋約70袋に入った制服など約600点が見つかったとのこと。
Twitterなどを眺めると、この件について、芸人仲間からは相方、今野浩喜に対する同情や、高橋に対する叱責、怒りのようなものが多数寄せられています。もちろん一般ユーザーからも、彼のTwitterには批判が殺到しています。
ダメだ。我慢できないから覚醒してくる。
— キングオブコメディ高橋 (@kincometakahash) 2015, 12月 18
ところで報道によると、驚くべきことに高橋は、「20年くらい前からやっていた。性的欲求を満たすためだった」と供述しているそうです。キングオブコメディの結成が2000年ですから、高橋にとってこうした犯行は、相方より付き合いが長いという笑えない笑い話がここにはあります。お笑いお養成所に通っていたときも、「エンタの神様」に出ていたときも、キング・オブ・コントで優勝したときも、相方と、そして「罪」との三人四脚だったのです。それぐらい根深い。
そういうことを考えていたら、元Uターンの土田晃之がラジオ番組で、被害者に対しての同情を示しつつ、高橋の問題を「治らない」と断言したそうです。この人もブレない。
土田は、普段の高橋について「全然普通のヤツ」だと語る一方、今回の事件のような傾向は「治らないよね。性癖ですもんね」と断言している。土田は、盗撮で逮捕されたタレントの田代まさしを例に挙げて、「こうなってくると難しいよねぇ。どうしたらいいのか」とこぼした。
音源も確認しました。たしかに言ってるんですよ。「治らない」って。
土田の視点が、ほかの凡百の芸人に優越しているように感じられるのは、この問題についてもはや道徳や、べき論といった視点から語ることを初めから放棄しているようにさえみえるところにあると思います。
起きたことが「悪い」ことには変わりありません。被害者は同情されるべきですし、場合によっては手あついケアも必要でしょう。
しかし重要なのは、そうしたよい/悪いという視点とはまた別のところで、ぶっ壊れた人間が「治らない」、あるいは治すことが難しいという視点を持つこと、そしてそれを踏まえた上での社会設計という視点を持つことです。
市井の人間には、性犯罪の再犯率の高さなど「性癖の問題の根深さ」はかなり共有されつつあります。ただ、こうしたことを視点を高橋と同じ芸能人が公言することこそが、意義深いのではないかと思いました。