いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

「働きたくない」3割の若者が参考にしたいタモリの教え

今週、18〜29歳の若者を対象とした電通による調査結果が発表され、ちょっとした話題になっていた。

現代の働く若者は「モーレツ社員」「企業戦士」という言葉を知らない――電通総研は8月13日、働く若者の就労への意識を調べた「若者×働く」調査の結果を発表した。「企業戦士」や「モーレツ社員」という言葉はを知っていた若者は2〜3割にとどまっていたほか、「できれば働きたくない」と思っている若者は3割に上った。

 週に3日以上働いている18〜29歳の男女3000人と30〜49歳の男女2400人について、3月20日〜23日にかけ、インターネットで調査し、その結果を比較した。

「働きたくない」若者3割、「モーレツ社員」「企業戦士」という言葉を知らない――電通総研の就労意識調査 - ITmedia NEWS

この調査のうち、特に話題になっているのが「できれば働きたくない」と感じている若者が約3割いるとの結果だ。調査にケチをつければ、「若者×働く」という調査の性質上からか他の世代の結果がないため不十分だ。もっとうえの世代だって「できれば働きたくない」と思っているかもしれないではないか、とのツッコミようがあるが、本題ではないので脇においておく。

「できれば働きたくない」が約3割との結果について、ネット上では「当たり前」といった反応のほか、「むしろ7割の人は働きたいと思っていたんだ」といった「7割」に対しての驚きの声が上がっている。

ぼくも、「できれば働きたくない」と思いながら働いているとして、別に不思議ではないし、責められるべきことでもないと思う。

注意すべきなのは、「できれば働きたくない」と思っていることは、仕事のアウトプットはもちろん、仕事にとりくむ姿勢とも別物と考えるべき、ということだ。

「できれば働きたくない」といった消極的な姿勢でも、仕事で結果を出す人はいる。あるいは「できれば働きたくない」と思いながらも、強靭な「割り切り」によって頑張る姿勢をみせることのできる人だっているのである。

この調査を報じたネット上の6記事のうち5記事が、この「できれば働きたくない」が約3割にのぼったことをタイトルに持ってきており、この結果がセンセーショナルであることを物語っている。

けれど、ホントはそんなことはない。「できれば働きたくない」と思いながらもなんだかんだ働いている人が一定数はいるーーそのことの方が「当たり前」なのだ。


ところで、そんな「できれば働きたくない」と思いながら働いている若者に対して、参考になる人がいる。タモリだ。

 音楽番組「ミュージックステーション(Mステ)」や深夜のバラエティー番組「タモリ倶楽部」が長寿番組になっている秘訣(ひけつ)を聞かれたタモリさんは「反省してもよくなることはない」ときっぱり。「同じ状況は二度と来ないし、反省してどうするの。終わったものはしょうがない」と持論を展開し、最後に「あとは、頑張らない」と付け足した。
http://news.mynavi.jp/news/2015/08/07/589/

長く続けるためには「反省しない」「頑張らない」――タモリフリークにとってはもはや手垢のつきまくった話であり、ネット上でもずいぶん前から知れ渡っていたが、今回本人が改めていった形だ。

ぼくにとっては、とくに「ミュージックステーション」や昨年終了した「森田一義アワー 笑っていいとも! 」といった若い女性がギャーギャー騒ぐイメージの番組へのタモリの姿勢が、「できれば働きたくない」若者たちの姿勢とダブる。

管見によると、タモリが「いいとも!」抜擢された当時は、現在でいうところのイジリー岡田江頭2:50などのいわゆるキワモノ芸人の立ち位置だったため、かなり驚かれたそうだ。当時、彼にとって若い女性がギャーギャー騒ぐ番組は、完全な「アウェイ」だったはずで、つまり、「いいとも!」は「できれば働きたくない」職場だった可能性が高いのだ。

そんな「できれば働きたくない」中でも働かなければならないときこそが、この「反省しない」「頑張らない」という姿勢が重要になってくる。

反省せず、頑張らないかわりに、明日への余力を残しておく。最悪なのは、低レベルな仕事の出力ではない。余力を残さずに次の日を迎え、力尽きて仕事に穴をあけてしまうことの方だ。「いいとも!」は、「つまらない」「マンネリ」と罵倒され続けながらも、32年も続いた。反省せず、頑張らないタモリによって。

お笑いビッグ3の中でも、映画制作に必要な莫大な資金を得るために割りきって働いているといわれるビートたけしや、息をするようにしゃべる超人・明石家さんまに比べれば、タモリの仕事に対する姿勢は市井の人間のそれにもっとも近い。それだけに、32年も同じ仕事を続けることのできた彼のその教えは、拝聴に値するはずである。


と、ここまで書き終えてぼくは衝撃の事実に気づく。今回の調査対象は18〜29歳の「若者」で、5月に30歳となったぼくにとっては、半分他人ごとだったのだ。他人ごとなのに気付かず自分のことだと思い込んで書いていたことに凹む。こんなにショックを受けて、来週から仕事を頑張れるだろうか……。