いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】ダブルヘッド・ジョーズ

ダブルヘッド・ジョーズ [DVD]

ダブルヘッド・ジョーズ [DVD]

学校の課外授業でクルーザーに乗り、太平洋に出た若い男女十数人が、頭をふたつ持つサメの怪物におそわれるというモンスター映画である。

ぼくはこの映画、スタッフの潔さに惚れた。冒頭でさっそくふたりのヤ✕マンっぽい美女が仲よく並んで水上スキーを楽しんでいる。それを、いかにもサメに食い殺されそうなウェイウェイリア充男たちが引っ張っている。どうせこのあとヤるつもりなのだろう。

ところがそこに、ダブルヘッド・ジョーズが水面からバシャッと現れて、案の定水上スキーのふたりをガブリといくのである。頭がふたつあるから、すこし間隔の空いたふたりの人間を一気に食べられるわけ。

結論から言うと、ダブルヘッド・ジョーズダブルヘッド・ジョーズたる見せ場はこの冒頭部分しかないのである。企画会議での「頭がふたつあるサメがいたら、ぜってーこんな食い方できるよな!」という愉快で楽しい様子が想像できるのだが、これ以降このふたつ頭があるという設定が活かされることはほぼない。この潔さである。かっけー。

このあと本作の主人公たちが登場するのだが、殺されるやつと殺されないやつ=主人公たちの違いがはっきりわかるのもよい。その違いとは、ちんこの大小をネタにしたジョークに乗れるかどうか、だ。下品なリア充どもはちんこがちっさいだのおっきいだのでバカみたいに盛り上がる一方、最後まで生き残る根暗な集団は彼らにバカにされっぱなしである。

どうせこんな映画観ている観客は後者の側が大半のはずで(失礼)、男と女がちんこジョークで盛り上がるのに戦慄するはずだが、心配ない。このあと主人公サイドの女が「気にしないで。将来あいつらの上に立つのは、オタクのあんただよ」と「お、おう…」としかいいようがないフォローをしてくれるぞ。


とくにクライマックスのダブルヘッド・ジョーズ敗れる…!の部分が学芸会かというぐらい酷いが、そんな中でダブルヘッド・ジョーズの致命的な弱点が発覚する。

改めて紹介すると、ダブルヘッド・ジョーズの全体像はこんな感じである。

ジョーズ1匹でも手強いのに、頭がふたつあるのである。そんな難敵ダブルヘッド・ジョーズだが、クライマックスでは思わぬ弱点が見つかる。首と首の間に入られると、何もできないのである……。

ここを見ながらサメではないが死んだ魚の目になってしまったが、一方で、世の中にも似たようなおっさんがいることに気づいた。遠巻きに眺めていたら怖そうだけれども、意外と懐に入ると優しいおっさん、あの人たちである。ダブルヘッド・ジョーズとはまさしく、そういうおっさんのことなのである。なんのこっちゃ。