いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】キャットウーマン


キャットウーマン(初回生産限定スペシャル・パッケージ) [Blu-ray]

キャットウーマン(初回生産限定スペシャル・パッケージ) [Blu-ray]

ハル・ベリーが主演したキャットウーマン。ベリーが演じるしがないOLが、企業の不正を目撃して消されるも、猫の魔力(?)によってキャットウーマンとして蘇る筋書きだ。

キャットウーマン自体は「バットマン」シリーズからの派生キャラであるが、本作はバットマンはいっさい関係ない。

けれど、一応はバットマン関連ということでいえば、この翌年に例のクリストファー・ノーランによる「バットマントリロジー」第1作、「バットマン・ビギンズ」が公開となるということで、この映画は殆ど記憶に残っていないのではないだろうか。

で、内容なのだが、これがかなりキビシー。まず冒頭、アバンタイトルまでになんやかんや伝説的な猫の説明があるのだが、ここが意味不明だ。何か猫にまつわる話なのだが、散文詩のようで要領を得ない。その謎はあとで回収されるわけでなく、本当に「意味のわからないアバンタイトル」として完結している。

キャットウーマンも、キャラクターとして魅力的とは言いがたい。このあとトリロジーでアン・ハサウェイもやっているが、ミシェル・ファイファー版、ベリー版、ハサウェイ版と並んだとき、一番強烈なのはやはりいまもミシェル・ファイファー版である。

ハサウェイのキャットウーマンもダサいのではあるが、印象でいうと一番薄いのは、やはり主役で出ているはずのベリー版だと思うのだ。


この原因はなんだろうと考えたら、まじめな話、コスチュームが全身レザー地でなくなったところは大きいと思う。キャットウーマンにヘソ出しは求めてないぞ、というか、そんなワイルドでなくていいよ、というか。

能力的にもイマイチで、たいして強くない。俊敏性はあるのだが、打撃はなんとも心もとない。おまけにラスボスはシャロン・ストーン演じる一般人に毛の生えた程度の能力の化粧品会社の社長婦人である。どこに盛り上がる要素があろうか。

噴飯モノだったのは、警察の留置所にぶち込まれた場面。ぼくはこれまで、こんなダセェ脱獄シーンを見たことない。おまけに体にひねりを加えながら警察署の窓を飛び出した際、一般の乗用車に轢かれかけるのである。一歩間違えたら死んでいたのだ。こんなアメコミヒロインみたことない!

とまあこんな感じで、本作はこの年の最低映画を決めるラジー賞の主要4部門を総なめにしたわけだが、この映画にまつわる1番カッコいい人物は、主役のハル・ベリーその人だ。

ベリーはこの授賞式に出席し、「他人の助力なしにアカデミー賞ラジー賞)は取れないわ」「最高(最低)のスタッフに囲まれたおかげよ」と泣きはらし、アカデミー賞を受賞した時のスピーチを全く同じく再現してみせた。ベリーの懐の大きさに、観客は拍手喝采を送った。

Wikipediaより

このエピソードのお膳立てと考えれば、この映画も少しは世のためになったというべきだろうか。