いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】幸せパズル


幸せパズル [DVD]

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『幸せパズル』は、アルゼンチンとスペインの合作映画である。生活にやりがいを見いだせない専業主婦がパズルにドハマりし、大会に参加するパートナーを探す求人を見つけたことをきっかけに、家庭の外に飛び出していくホームコメディだ。

ヒロインは、マリオン・コティアールの20年後みたいな美熟女である。彼女がどれだけパズル基地外かは、冒頭で彼女が忙殺されている誕生日会のシーンで、うまい具合に表現される。彼女にとってパズルは、生きがいというよりもはや「習性」に等しいのだ。

そんなパズルに家族は見向きもしないが、彼女は同好の士であるナイスミドルと出会い、大会へと切磋琢磨していくのだが……。

この映画を見るとパズルをする人というのが、いかに地味かがわかる。これがびっくりするほど画面映えしないのだ。それから気になったのは、パズルがテーマのわりに、パズルに関する考察が浅かったことである。パズルは端から作っていくのが常道なのだそうだが、ヒロインは特殊で中心から作っていくという。全編、パズルについての話はそれ一辺倒なのである。いや、もうちょっと何かあるでしょ。


パズルに無理解な夫に対し、自分の才能を理解してくれる同世代の男性……とくれば魔が差さない方がおかしいですよねとばかりに、2人はやはり、不埒な方向に転がり込んでいくのだが……。

クライマックスで彼女は、世界大会への望みを捨て、ころっと家庭に帰ってきてしまう。ここのあっさりした感じにおやと思わされるのである。

エンドロール前のシーンで彼女はまた一人ぼっちとなり、台所で(家庭での彼女の居場所はそこにしかない)黙々とパズルに励んでいる。全編、暖色のほっこりするような色合いだが、この結末にどこか悲壮感をもってしまうのはぼくだけだろうか?