いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】人生、ブラボー!


人生、ブラボー! [DVD]

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仕事はグズだし借金まみれ、というろくでなしの中年男・ダヴィッドが、ある日突然500人以上の若者の「父親」である、と宣告されるコメディ映画。製作はカナダなんだけれど、おそらく舞台はフランス。種牛として優秀なカナダ牛のスターバックには世界に20万頭もの子どもがいる、という実話(それ実話っていうのか?)に着想を得たそうだ。

なんでそんな事態になったのかというと、かつてとある理由から止むに止まれずに病院に提供し続けた彼の精子が、どういうわけかすべて患者に提供されてしまっていた、というわけ。そんなの病院側のミスじゃーんと思うわけだけど、どちらにしろ彼は、未婚であるにもかかわらずある日突然「数百人の父親」という身を引き受けざるを得なくなる。


当時は「スターバック」(この映画の原題)という偽名で精子は提供しており、約100人を超えるわが子に名乗り出てほしいと訴えられている彼は、その「わが子」一人ずつに身分を隠し、戸別訪問していくことに。
ある者は成功していたり成功していなかったり、ある者は健康であったり健康でなかったり、ある者は優秀であったりそうでなかったり……。数百名もいたらそれは当然だ。
名乗りではせず、「自分の子種がどのような生き物になったのか」という好奇心だけを満たそうとするあたり、ちょっと身勝手じゃないか? とは思うけれど、そういう好奇心が「自分の子どもがほしい」という欲求とは別にあることは、すごく理解できる。


「自分がコミットしていた可能性のある人生」の断片を体験していくうちに、彼にも情を移っていく。名乗り出ないということで弁護士と話を進めていた彼だが、次第にその気持ちにも変化がでてくる。


いろいろとご都合主義的にものごとが解決されていくし、また「数百人の子供」という設定は思っていた以上にたんぱくに消費されている印象がある。
けれど、誰も憎しみ合わない終わり方はそれはそれでよし。家族の形に正解はないよ、というのは、きっと大切なメッセージなのだろう。
それにしても、「どんな映画にでもあてはまるやん」といういい加減な邦題だけは、やめてほしかった。