いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】ラブ & ドラッグ

ジェイク・ギレンホールアン・ハサウェイという豪華共演によるラブコメ映画。女たらしの製薬会社のセールスマン(MR)と、メンヘラク×ビッチが出会い、体の関係に終るように見えたが二人だったが……という内容。
8分後に爆破テロにあう世界を繰り返し体験させられたり(『ミッション:8ミニッツ』)、自分そっくりの男に出会ってしまったり(『複製された男』)と、災難続きでしかめっ面ばかりしているイメージのジェイクくんなのだけれど、この映画ではもうまっっっっったくちがう役どころ。もう冒頭の数秒の話し方で、「あー、こいつチャラいな」と思わされてしまう。
けれどその一方で、相手役のアンが演じるマギーと出会った瞬間の絶妙な一目ぼれの演技も圧巻。役者としての引き出しの多さを嫌がおうにも思い知らされる。

一方アン・ハサウェイアン・ハサウェイで、もはや名優の貫禄がある。この二人がメインを飾るということだけで、安心してみていられる。


アンが演じるマギーは悪い意味で達観していて、相手との関係性をすぐにメタの視線から茶化そうとする。たとえば、彼女に一目ぼれしたジェイミー(ギレンホール)に口説かれ、自宅に招くことをOKしたときも、即座に「今『ヤレる』と思ったでしょ?」なんて言っちゃったりする。超絶ウザい女!
でも、ジェイミーが惚れるのもわかる。こんな天真爛漫で、実は人間味があって魅力的な女性はなかなかいない。
彼女が人生に達観し、ジェイミーに最初はドライな交際を望むのにも、パーキンソン病という不治の病を患っている背景がある。

だから、ジェイミーとだんだんいい感じになって、真剣に交際してもいいかもぐらいになってきても、あえてそれを避けようとする。それは「本当に好きになる」のが怖いからだ。これはメタヤロウによくある症状だ。なぜなら、「好きになる」というのは徹底的にベタな営みで、メタの視点から茶化すこともできなくなる状態だからだ。


ところで、本作には『涙と笑いの奮闘記 全米セールスNo.1に輝いた〈バイアグラ〉セールスマン』という原作本があるそうで。これを知った上で見ないと、バイアグラの登場によって競合他社にやられっぱなしだったジェイミーの仕事がうまく行き始めるところなど、唐突にみえてしまうかもしれない。未読であり推理に過ぎないが、どうも原作では「バイアグラのセールスマン」というのに、より比重がかかっているようだ。

まー、結末は例によってありふれているのだけれど、前述したように主演二人の貫録勝ちである。