いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】ゾンビアス

片腕マシンガール』『電人ザボーガー』などで知られる井口昇監督作品『ゾンビアス』は、過剰なサービス精神が、愛すべきありがた迷惑にまで昇華した、エネルギッシュな映画だ。

あらかじめ言っておくと、家族団らんで鑑賞する事は断じてお勧めしない。また前半は、食事中にみることも厳禁だ……とくにカレーライスとか食べているときは……うん……。つまり、家族で夕食を囲んでいるときにみるのには、最凶最悪の映画っていうこと!
一作の中にここまで貪欲にフェティシズムを詰め込み、同時に嫌悪感を掻き立てる作品を、ぼくは知らない。キャンプにきた若者たちがゾンビに襲われる、というホラー映画の基本フォーマットにのっとりながら、作中には腹痛に身もだえる美女からスカト〇ジー、異物挿入、触手まで、ありとあらゆるフェチを取りそろえる。
そのうえ最終的にジャー・ジャー・ビンクスもどきと空中戦を繰り広げるのだ。何を言ってるのかわからねーと思うがおれも何されたのかわからない……。寄生虫的な要素もあるが、おそらく何十倍もの製作費がかけられるスタンドバイミー山崎貴の『寄生獣』はこの映画の熱量にはたして勝てるのか、今から不安になってくる。

大味なド変態映画にみせかけて、細部へのこだわりも見逃せない。たとえば、美少女のとある穴から排出された物体にCGで湯気が書き足している芸の細かさは、もはや奥ゆかしさを感じるレベル。


惜しむらくは、終盤に黒幕として出てきた麗しきナイフ使い(どういう属性の人物かはネタバレになるのでいちおう伏せて置く。ネタバレで騒ぐような作品ではないが……)が、やや物足りなさを残した点。あのナイフの威力を印象付けるため、人間かゾンビかが一度いけにえになってほしかった、というのはこの大盤振る舞いに対して高望みかもしれないが……。

PTAのみなさんは、お子さんのベッドの下から『ALWAYS』でなくこの映画のDVDを見つけたときこそ、自分の教育方針は間違っていなかったと誇るべきなのである。

ゾンビアス [DVD]

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