いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

映画「トランセンデンス」……夢もなければ畏怖もないSFなんていらない!!


世界初の人工知能PINN(ピン)を研究開発するコンピューター科学者のウィル・キャスター(ジョニー・デップ)とその妻エヴリン(レベッカ・ホール)は、コンピューターが人間の能力を超えることができる世界を構築する為の技術的特異点を目標に活動していた。
しかしそのさなか、ウィルは反テクノロジーを唱える過激派テロ組織RIFT(リフト)の凶弾に倒れてしまう。エヴリンは夫を救うべく、死の際にあったウィルの意識をPINNにアップロードする。彼女の手により人工知能としてよみがえったウィルは、軍事機密から金融、経済、果ては個人情報にいたるまで、ありとあらゆる情報を取り込み、驚異の進化を始める。やがてそれは、誰も予想しなかった影響を世界に及ぼし始める。

ウィキペディアからのストーリー引用

均一なるマトリクスの裂け目の向こうに行っちまった夫と、その妻のお話である。
何せ意識がインストールされちゃったというんだから、一応SFとしてそれなりの理論的な説明が必要なはずだが、それが杜撰である。サルでできたんだから人間でもできないはずはねーというのである。
だがそれはよい。なによりもマズいのは、この映画がひとつも面白くないということだ。


面白くないといってもいろいろな種類があるが、この映画については仏作って魂入れずで、何がしたいのか、何を見せたかったのかがさっぱりわからないのである。誰もこの映画にワクワクしないし、誰にも愛されない映画になるんじゃないかと思う。

人工知能化したダンナはナノテクノロジー()とかなんだを駆使し、植物の成長スピードを早め、傷ついた人体の再生をも可能にしてしまう。もはや彼は神の域に達してしまうのである。
書いていて話は壮大なように感じるが、画面で展開される絵面のスケールが恐ろしくショボい。夫婦はアメリカ中西部かどこかのだだっ広い空き地に基地を作るが、そこから彼らが世界を掌握してしまう重大さは感じられないし、太陽光発電をしている見た目だけならただの優雅な農家である。


配下の人間たちはウィルの人形と化し、ナノテクノロジー()によって無敵のソルジャーとなる。彼らは撃たれても再生する身体を手に入れるのだが、本作は銃槍が見る見るうちにふさがっていく様子をアップで映す。だがしかし、今どきそんなVFXを見せられたとして、喜ぶ観客がどれだけいるだろう?
パラノーマル・アクティビティ』の時も同じように感じた。「この人達(登場人物)の立場になったらさぞかし怖いだろうなぁ」とは想像できても、観客としての自分はチッとも怖くないのである。それと同じことが、この映画にもいえている。この人達の身になったらさぞかし驚くべきことだが、観客としてのぼくは約2時間冷温停止していた。


だいたいAIになったジョニデがなんとも魅力に欠ける。元人間なのだから、もっと気の利いたことを話せよ。つい1週間前に完全な人工物で、顔さえ見えないという設定のOSに魅了された立場からしたら、なんとも彼女のことが恋しくなるところだ。