いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】我々がキャメロン・ディアスに期待する何か−−映画「バッド・ティーチャー」


キャメロン・ディアス主演の学園ムービー。
小学校で教鞭を振るうエリザベスに、教育者としての熱意も、使命感もない。あるのは底の抜けたような物欲で、アットホームな雰囲気を醸し出す学校の同僚たちには嫌気がさしていた。もうすぐお金持ちのマザコンフィアンセの玉の輿になる予定の彼女は、年度末とともに、そんなクソみたいな教職ともおさらばする、はずだった。しかしフィアンセのママの反対によって婚約は破談。仕事にこまったエリザベスは新年度、戻る気などさらさらなかった教壇に立ち続けるはめに……。


断言しよう、我々は潜在意識下で、キャメロル・ディアスに確実に、ある願望を抱いている。『メリーに首ったけ』に『マスク』もそうだし、近年では『ナイト&デイ』『モネ・ゲーム』もそう。われわれは毎回、彼女がどんな「頭の軽い女」を演じてくれるか、それを期待している。とりあえずそれは認めようではないか。天海祐希主演?あー、はいはい、またああいう感じなんでしょ?、という倦怠感とはまたちがい、われわれは彼女がどんな軽薄な女を演じてくれるか、積極的に期待している。
ただ「軽い女」とはいっても、長くやれば年季が出る。
児童を放置し教卓に長ーい足を乗っけて二日酔いにうなされる様や、狙った男の前で態度が豹変する様も、彼女の域にまでくると川合のバントをみるような心地になる。要は、いぶし銀なのだ。


映画の構造は、やや『スクール・オブ・ロック』に近いかもしれない。ダメ教師が、ダメなりにクラスを運営する。ダメな児童に説教するが、おのれが今まさにしている説教の中に、実はダメな自分を変えるヒントが隠されている…という展開はかの映画にもあった。
けれど今作の場合は、エリザベスの恋愛面におけるダメっぷりは解決されても、教師としてのダメっぷりを解決する契機は、一度もない。最初から最後まで凄まじい。校内パーティーを抜け出して同僚と大麻を吸うわ、児童とのバイトの収入は横領、昏睡強盗からの脅迫をやれば、最後は自分の罪を(不可抗力ではあったにしろ)ライバルに着せてしまい、そのまま行ききってしまう。
ジャスティン・ティンバーレイクなど、ところどころ面白い箇所はあるのだけれど、いかんせんコメディとしては笑いどころが少ないか。


ただそれでも2時間見終えてしまえるのは、やっぱりキャメロンがいるからで、なんだかんだで当代一のラブコメの女王であるのは否めない。アラフォーになってもフォトジェニックで、圧倒的なオーラは他の追随を許さない。よくよくみればファニーフェイスなのだけれど、愛嬌というのがいかに大事なのかを痛感させられる顔である。