いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

泉谷しげるのあのノリ、苦手です

大晦日のNHK紅白歌合戦に出演した泉谷しげるが、会場の拍手を一喝してやめさせて、ちょっとした話題になった。
ぼくも生放送で観て印象に残っていたのだが、肝心の理由についてはわからなかった。
それで、ついさっきTwitterでこんなのが回ってきて、ようやく理由がわかった。

この日の怒りは観客に向かったようで、終了後、報道陣に「あいつらバカだからな。(会場に来られるような)恵まれたやつらじゃなくて、テレビの前で苦しんでいる人のために歌いたかったんだ!」と説明した。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140101-00000062-spnannex-ent

また元日にブログで、経緯をこう説明している。

NHKホールに集まった数千の人らはいわば選ばれた恵まれた人たち?だろうよ。
しかし、テレビの向こう〜あるいはラジオ聞いてる人々には故郷に帰れない人、病気になり一人で放送を見聞きしてる人、被災地で寒さに耐えてる人らが居るのだ!

オイラはNHKホールに集う人よりテレビ・ラジオの向こうの人らに歌ってやるンだと最初からキメててNHK側も賛成し、完全ライブをさせてくれたのだよ!


2014・謹賀新年|泉谷しげるオフィシャルブログ「泉谷しげる・春夏秋冬」Powered by Ameba

これを読んで、なんか嫌な感じがして。
まず、別に紅白歌合戦を現場の渋谷のNHKホールで観ている人たちが、「恵まれたやつら」とは思えないのだ。
だいたい紅白は、家のテレビで楽しむものだろう。それを寒い中、わざわざ渋谷まで行ってまで観るのは、けっこうしんどい。
その上、紅白はあくまで「テレビ番組」なのであって、あれをコンテンツとして楽しむのに最適化されているのは、おそらくテレビ視聴のはずである。会場にいたら、観たくない裏側などを見せられるかもしれない。
つまり、テレビ視聴者と観覧者のちがいとは、楽しみ方の違いに過ぎず、そこにどちらが恵まれているという優劣はないはずなのだ。
NHKホールで観覧できるということで、恵まれた地位にある人が縁故で入場していることも勘繰る余地はあるが、あくまで形式上は、契約者の中で希望する人の抽選だ。運の良し悪しにすぎない。


どちらにせよ、会場でおのれの音楽を楽しんでいる人たちの拍手を、無理にやめさせる必要もないわけだ。
泉谷が偽善ぶってると批判したいんじゃない。
そうした会場にいる人=恵まれた人たち、テレビ・ラジオで受容する人=恵まれてない人たちという構図が、擬似的な、いわばプロレスにすぎないんじゃないか、と思うわけだ。そうしたプロレスは面白いのだが、泉谷の選んだ「ブック」に関していえば、なんだか古くさいし、的外れにしか思えない。


本当にあの番組に殴り込みをかけるなら、もっとやり方があったはずだ。
たとえば、あの幕間の滑稽な掛け合いの予定調和の雰囲気とか、今年に関していえば、見てない人からすればさっぱり意味がわからない異様なまでの「あまちゃん」推しとか、そういうのに切り込んで欲しかった。ぶっ壊してほしかった。

反体制、反権力志向が、あさっての方向を向いてた感じが否めない。
むかしHEY×HEY×HEYで、番組観覧者らにいきなり唾吐いてたころは面白かったんだけどなー。