いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

橋下氏の風俗発言で考えたあれこれ

橋下氏、米軍に風俗活用を促す - ライブドアニュース

多様な意見があってしかるべきと思うけれど(現にこういうのは世のオッサンが飲みの席でいかにも言いそうなことで、かつそういう精神性が橋下さん支持層の根底を支えているんじゃないかと)、猪瀬都知事のトルコdisと同じで、言った人の立場と聞いた人の立場が決定的にマズいわけで。なぜ直接伝えたのだろう。

この発言内容を批判する人の中には、そもそも性風俗に反対だから「橋下けしからん」となる人と、現にセックスワーカーという人がいて、両者は両者でオフセット衝突を起こしている。個人的には性風俗がだめなら「性の商品化」もだめだろうし、「性の商品化」がいっさいだめというのは、もはや不可能の域に近いと考える。

一方セックスワーカーからすれば、わたしたちなら性犯罪者をあてがっていいと考えているのか、という話である。
橋下さんは「(米兵による)事件が収まる因果関係があるようなものではないが」とそこはシレっと避けているのだけれど、兵士全般についていうならば米軍のみならず各地の自衛隊にも同じことを言って回るべきであって、やはりこういう発言をする背景には沖縄での米軍による性犯罪があることは否めない。

個人的には、性風俗産業が性犯罪の抑止に効果的というのはいささか懐疑的で。とくに凶悪な強姦事件、強姦致死事件というのは「一男性」の感覚として言わせてもらえば、和姦とは全く別物なんじゃないかという気がしてならない。この点で、性風俗産業がレイプの抑止になるという意見については、全国津々浦々の和姦主義者は共闘して反論すべきだと思う。


けれどもこの和姦というのもまた厄介なもので。
和姦と性暴力の間に決定的な境界線を引けるのかというと、実は難しい。かといって、かつて全てのセックスは暴力だと主張した人もいて、それもさすがに言いすぎで、やはり両者はグラデーションになっている。和姦の最中でも暴力的な瞬間はありえるだろう。特に男の性欲は「支配欲」に接近することが多分にある。

他のサービス業の従事者にくらべセックスワーカーの尊厳が脅かされやすいのは、まさにこの性にあらかじめ含まれた暴力性や支配欲に関係する。
セックスワーカーは性的欲求を充足させる対価として料金を受け取る。形式的には性的なテクニックの対価として、だ。
けれど、性的欲求の充足の中に相手の人格の否定、ないし蹂躙という項目があらかじめビルトインされている厄介なタイプの客というのが中にはいる。加えて、セックスワーカーへの蔑視がこれに拍車をかける。性を売り物にすることがなぜ蔑視の対象になるのかという疑問もあるが、おそらくそれは人類最古の謎の一つなので、ここでは立ち入らない。
一般的な「サービス業」とちがって、セックスワーカーが不当な扱いを受けるのには、このような背景がある。だから仕方ないというのではなく、現状認識として。


書き終わってみて、最後の話は今回の騒動とややそれているのだが、今回の一件で考えたこととして残しておく。
橋下氏の発言については、維新の会共同代表の石原氏が擁護するという予想通り過ぎる展開をみせており、今後もなにかやらかす気がしてならない。