
- 作者: 古谷実
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/02/06
- メディア: コミック
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1巻を読んで予感があり、さらにこの2巻で確信したことがある。それは、今作こそ、これまで古谷実を読んだことなかった人に読んでもらいたいということだ。
これまでの後期(『稲中』、『僕といっしょ』『グリーンヒル』までを前期として)古谷の作品は、めちゃくちゃ抽象度の高い登場人物の不安や悩みがまずあり、そこに後からわけのわからん事件(しかもそれは主人公の不安や悩みと関係なかったりすることもある!)が次々と押し寄せてきて、その結果、わけのわからん一品が完成するというパターンだった。
そこがぼくの好きなところである一方で、同時に新規ファンの開拓を阻み、また旧来のファンからは「またいつもの古谷かよー」と呆れられていたわけだ(と思う)。
しかし、今作『サルチネス』に関してはそうではない。
亡くなったアニメ監督今 敏に激しく似ている主人公・中丸の願いはただ一つ。妹の愛ちゃんが幸せになることだ。彼はめちゃめちゃ妹想いなお兄ちゃんなわけだ。妹の幸せだけを願い、暴走しているのだ。
話の導入として、主人公の目的がこれまでの作品とは比べ物にならないくらいはっきりしている。
そして、いわずもがな、ギャグに切れがあって、女の子も可愛いのである。ぜひ一度手に取って読んでみてもらいたい作品。
ということで最後に、2巻を読んで心に残ったフレーズをピックアップ。
もしこの世を司る何かがいたとして・・・・そいつがオレ達の母親から理不尽に"普通"を奪ったのならば・・・・オレはそいつを恨む
p.30
オレは知っているぞ・・・・数え切れない友人がいても 何十人も恋人がいても 立派な家庭を持っていても・・・・さびしい人は底ナシにさびしいと・・・・
p.69
遅い 遅すぎる・・・・・・こんなペースじゃ オレが自立する頃にはもう・・・・・・ 愛ちゃんの月経があがってしまう!!
p.99
とうとう見つけたぞ・・・・・・・・・・・・・ 人生という摩訶不思議な化け物を・・・・・・確実に殺す方法を・・・・・・
p.102
オレの夢を・・・・そんな ケータイ電話で調べられてたまるか
p.182