いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

ペニーオークションとタレント達が毀損したブログの価値

ペニーオークションが盛り上がっている。1,2年前に一度話題になっていたためネット民からすれば「何をいまさら」なのかもしれないけれど、ペニーオークションサイトの運営者が詐欺の容疑で今月逮捕されてから一気に状況が動き、ステマ記事を挙げていた芸能人が軒並み謝罪に追い込まれた(一部でまだ抗弁する人もいるけれど)。

今回その「ペニーオークション」という言葉以上に、言葉として流通しているのが「ステルスマーケティング」、通称ステマだろう。
このステマに対して、欧米では明確に禁止されているみたいだけど、日本での対応はまだ微妙なところだ。単なる「ステマ」であるならば、ネットの急進的嫌儲派のみなさまをのぞけば、そこまで目くじらを立てている人はいないだろう。あまりに露骨なブログ記事を投稿することから一部で「ステマエケン」と呼ばれるあるプロ野球地方球団の選手などは、一部のネット民からネタ対象としてある意味可愛がられている。

そのようにグレーなネタとしてならいいが、それと比べれば今回のペニオクは悪質極まりないだろう。なんせ、知ってた知らなかったに関わらず、詐欺の片棒を担いでたんだから。テレビも大々的に報じる今回の件で、ステマに対する世間の目はよりいっそう厳しくなるだろう。

余裕しゃくしゃく|釈由美子オフィシャルブログ「本日も余裕しゃくしゃく」Powered by Ameba
釈由美子はこの記事で、一連のペニオクに関わっていないとしながらも、「何を発していいのかブログをやることさえも怖くなりそう」と吐露しているが、これは偽らざる気持ちじゃないだろうか。ぼくがもし(そこそこ人気があって、アメ−バに少しは貢献できる)タレントだったとしても、今後は記事でよいと思ったものを紹介したり、褒めたりする際には、不必要に不安がおぼえていたことだろう。

釈のこの記事には「ホントのことしか書かない」とある。「本当のこと」というのは、ヒジョーに哲学的な問題で、そもそも「本当のこと」など書けないとかいいそうなデリダ派のみなさんや、すでにあなたの「本当のこと」はコマーシャリズムによって汚辱されているとかいいそうなフーコー派のみなさんには、ちょっと脇によけておいてもらって、ここではブログとその「ホントのこと」について書きたい。

たとえば、ブログによってタレントの眞鍋かをり中川翔子は「ブログの女王」という独特のブレークの仕方をした。ブログの彼女らは、テレビに映る彼女らのパブリックイメージのカウンターとしてあり、その二つが相乗効果となって彼女らの人気を押し上げていったことは疑いようがない。

そのブログで彼女らが明かしていたものこそが、釈由美子がここで書いている意味での「ホントのこと」なのではないだろうか。テレビには大人の事情がある。放送できる時間にも限りがある。そんな中で埋もれていた(テレビが価値がないと判断した)彼女らの素顔=「ホントのこと」を、より深く見せることができたメディアこそが、ブログではなかったか。

芸能人のステマが悪質なのは、その「ホントのこと」の、"汚濁"だからだ。タレントのブログなど、今や星の数ほどあるだろう。その中でもわざわざ自分のブログを見つけ、わざわざ閲覧しにきてくれるユーザーに対して「ホントのこと」と称して悪質なサイトに誘導するのだ。


今回のペニーオークション騒動。ぼくは詐欺そのもの以上に、芸能人が「ホントのこと」を発信できる貴重な個人メディアであるはずのブログの価値を、彼らが著しく毀損したことこそが、悪質だと思っている。