いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

出生前診断そのものが1つの"決断"

数日前から気になっていたまとめスレ。

出生前診断でダウン症発覚したんだけど : あとろぐ速報 出生前診断でダウン症発覚したんだけど : あとろぐ速報
奥さんの身ごもった胎児に、出生前診断ダウン症の可能性(「8割強」)が発覚したという旦那さんを名乗る人が立てたスレで、どうすればいいかということで喧々諤々と議論がつづいている。旦那さん個人は堕胎してもらいたいけど、奥さんは生みたいと言っているという状況。
そしてこちらが、その旦那さんと同一人物と思われる人が立てた続報的な内容のスレ。
【悲報】出生前診断でダウンだと発覚したものですけど、話しまとまったので報告します。|気になるニト速 【悲報】出生前診断でダウンだと発覚したものですけど、話しまとまったので報告します。|気になるニト速
奥さんは中絶を決意した上で、わが子の中絶を望む夫に失望したとして離婚まで持ち出したそうだけど、結局そのあとで思いとどまったみたいだ。

あくまでまとめサイトの編集によるものだけど、このスレでは旦那さんの意見に肯定的な書き込みが多い。決して美談だけではない障害児を持つ親の苦労だの、世間に迷惑がかかる(ひでぇ!)だの、けっこう言いたい放題だ。それに対して、毎度のごとくはてブ民のみなさまが崖の上から「2ちゃんに書き込む時点でどうかしてる」という、これまた非常に教科書的というか、全うなご高説を寄せている。


それに対してぼくは、別のことを考えた。
このスレに関しては、このダウン症の疑いをある胎児を堕胎するか否かで議論は盛り上がっている。でも実は、このスレを立てた旦那さんとそして奥さん、この夫婦は実はもう一つ大きな決断をすでにしてしまっていたんじゃないだろうか、と。


それは「出生前診断をするか否か」という決断だ。
ここには“知ってしまう”問題というのがある。
たとえばここに神様がいて「お前の寿命を知っている。教えてやろうか?」と言ってきたらどうだろう。ぼくだったらかなり悩むと思う。でもそれは、“もし短命だったら”ということを恐れて悩むんじゃない。短命でも長寿でも、余命を知ったことで、自分の身にどのような変化が起きるのか、それが想像を絶しているのだ。


それと、出生前診断というのは似ているところがある。現にその決断のあと、このスレの夫婦には破滅的な危機が訪れたのである。
もし二人が、我が子がダウン症だと知らずに出産を迎えていたらどうだろう。深い失望を味わうかもしれない。そして、実際に障害児をもうけたことで離婚してしまう夫婦がいるという話も聞いたことがある。けれど、もしかしたら旦那さんはそれでも、2人で手を取り合ってこの子を育てていこうという決意をしていたかもしれない。

ハゲという外見的な欠点を例に考えよう。ハゲで異性にモテない人というのはありえる話だが、ハゲてフラれたり離婚されたという話は滅多に聞かない。それはおそらく、ハゲようがハゲまいが、そんなことどうでもよくなるような強度の関係性がハゲる前から二人の間に構築されているからだろう。ハゲで障害を例えるなというお叱りを受けるかもしれないが、本当にそういうことだと思う。


出生前診断をするということは、それ自体が既に大きな“決断”なのである。
【追記】もちろん出生前診断には、胎児の健康状態を把握することで出産後により適切な処置をすることができるという肯定的な側面があることは大前提である。