予告編で何度か見かけた人は、なんとなくどういう映画になるかはわかるんじゃないだろうか?
生徒から慕われていた熱血教師が、ある日突然スクールシューターに変貌して教え子たちを狩りはじめる。一言でいえばそんな内容。
カメオ出演で原作者が彼に直々に謎めいた「エール」を送っているが、観おわってみて理解できる。あの「エール」とは、その後に彼が巻き起こすはずの、殺戮につぐ殺戮に対してのものだったのだ。
伊藤英明演じるこの教師、通称ハスミンであるが、腕まくりして熱心に学生と向かうこの教師の実在感はパナイ。今までの自分の実人生の中で、こんな先生には一度も巡り会っていないはずなのに、きっとどこかに「いそう」という感覚を強く呼び起させられる。
そんな彼が、なぜこんなことを?
映画では一応の説明はつけられるのだけれど、そんなに深く考えなくていいと思う。本作最大の醍醐味は、いわば、真っ白だったものが真っ黒に汚辱されていく様を眺めること。今まで信頼を寄せていた教師に、あろうことか生徒たちが次々とぶち殺される。それだけを楽しめ、といっているように思える。AKB48の大島優子が「この映画が嫌い」と言ったそうだが、教師を聖職だと信じる人にとっては、本気で胸糞悪くなる映画だと思う。けれど、映画はその胸糞悪さこそ楽しめと言っているのだ。
年端もいかない若者がつぎつぎ撃ち殺されていくこんな映画、ハリウッドじゃたぶん作れないだろう。「アメリカよ、これ"も"映画」だ*1。
三池監督ならではの洒落っ気やイジの悪さもビミョーに効いてていい(「とぅ〜だ〜い」のとことか、山田孝之の「………美和」のとことか)。
ただ、殺戮がショットガン一丁ではさすがに一本調子で途中ダレてくる。それにそのショットガンも、ショットガンのわりに人体損壊が大したことないというのは、『アイアムアヒーロー』愛読者としてはちょっと物足りない。それに、窓からグラウンドで撃たれた生徒があんなになるのなら、至近距離で撃たれた生徒はもっとグシャってないとおかしいだろう*2原作未読なので不明瞭な箇所も少なくない。
けれど、全体をとおしてみれば、これで存分に楽しめなかったというとウソになる。
デート映画にもってこいだと思います!おすすめ!!
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