いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

あなただけ不況になってください


オアシスのノエル「もっと不況が悪化すればいいのに」

オアシスのノエル・ギャラガーが、現在、世界中で問題となっている金融危機はもう少し悪化してもいいと話した。不況のときこそ、いい音楽が生まれると考えているからだ。

ノエルは『That's Shanghai』のインタヴューでこう話したという。「金融不安がもうちょっと悪化すればいいのにと思っている。少なくとも、俺ら、もう何枚かいいアルバムを作れるだろ」


連日連夜朝から晩まで、不況とそれに対して手だてを講じない政府与党をメディアがこれほどまでに糾弾する中、そんな時代の潮流にまさに真っ向から逆らうようなお言葉。Yahoo!ニュースのヘッドラインで「ノエル『不況悪化すればいい』」の文字を見たときは、「誰だこれ!?」と思ったが、あーギャラガーさんちのバンカラお兄さんでしたか。


彼らしいコメントであるが、「不況のときこそ、いい音楽が生まれる」、はたしてそうなのだろうか?というよりか、それにみんなを巻き込む必要はあるかい?と思うのである。芸術家がよい作品を生み出すのには、恵まれた環境よりもハングリーなのがいいのかもしれない。しかしそれは、世界恐慌というドデカイものにまでせんでも、個人的な不況、要はアーティスト個人がビンボーの状態、で間に合うのではないか。そしてそれが取りも直さず、ハングリーというやつなのではないだろうか。そもそもハングリーというのは、身の回りにハングリーじゃないヤツ、つまり満ち足りたヤツがいない限り張り合いがないからやっていけないのではないだろうか。「俺はビッグになったるぜ!」と意気込む横に、生活に困窮した、それこそハングリーな(腹をすかした)やつがいては、「あっ、みんなそうなのか」ということに気がついてしまい、一気に冷めそう。やっぱそこは、黒塗りのリムジンが通ってもらわないと、ハングリーな方も困るでしょう。


ところで、オアシスの後期(まだ解散したわけではないので、後期と位置づけるのはちと変かもしれないが)が不人気なのは、そのハングリーさがなくなったことが原因だとされている。映画リブ・フォーエバーにあった、ブレアとパーティーで談笑しているシーンが象徴的で、彼らはVIPになってしまったのだと。

しかし、本当にそうなのだろうか。これと似た例が、「モテないヤツがモテると(話が・文章が)面白くなくなる」というのがある。僕もそれをよく言われるのだが、言われる側からすれば、「あなたの見方が変わったからじゃなーい?」としか言いようがない。音楽もそうだけど、面白さというのはきわめて主観的なものであるから、視る人が僕を見ている際に、「こいつはモテないんんだ」というように下に見ているからこそ、文章から過度に切迫感を受け取ってしまうという可能性も捨てきれない。結局今までの「面白い僕」の方が、僕を視る人の中で「モテない」という幻想の盛られた砂上の楼閣だったのではないだろうか。