いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

結婚しても恋人でいたいなら

結婚しても恋人でいたいなら (新潮文庫)

結婚しても恋人でいたいなら (新潮文庫)


最近文庫版になった岸田秀の 『性的唯幻論序説 改訂版―「やられる」セックスはもういらない 』によれば、人類はそもそも本能が「壊れた」生き物であるため、他の動物のように発情期になると オートマティックに性交をするようにはできていない。男も女も、生育過程において造り上げた 性的ファンタジーが叶わないと、セックスさえもままならない。 人間のセックスは、体でするものであると同時に心でするものでもある。

恋仲なればまだいい。互いが互いに感じる「他者性」によって生み出される緊張感が、性的興奮を高め、その相手を、そしてその身体を求めたいという気持ちになっていく。
では「家族」ならどうか。彼が夫、あるいは彼女が妻という「家族」なったときに、その相手に「他者性」を感じ、性的欲望を喚起できるだろうか。おそらくできないだろう。そもそも、家族になるということは「他者ではなくなる」ということと同義であるのだから。 本書はそんなセックスレスの夫婦がすったもんだを経た後に、「自分たちなりのセックス」を取り戻すまでのプロセスを語ったインタビュー集。

読んでみてわかるのは、依然日本人がセックスの「量」においてはタンパクであるかもしれないが、その「質」では西欧に負けていないということである。本書によると、ごく普通の どこにでもいるような夫婦(かなり年配の夫婦もいる)が、びっくりするほどの倒錯的プレイに身を委ねているという。その倒錯加減はページをめくる度にどんどんエスカレートしていき、最後の方の見出しは「夫への復讐のつもりが・・・・・・」とか「敬虔なクリスチャンだったのに・・・・・・」とか、まるで官能小説のタイトルである。特にこの本で幾度も登場するのがスワッピング、グループセックスである。私には全くといっていいほど理解できないのだが、目の前で愛する妻を、今日出会ったような男に(もちろん事前に少しは話し合うそうだが)犯されているのを見て、旦那さんは嫉妬心で燃えるらしいのだ。

もはや「女性には性欲はない(と信じられていた)」時代は終わった。これからは、それぞれの夫婦がお互いの性的快感を引き出し合いながら、思い思いのセックスをするという時代なのかもしれない。

でも子どもにはバレないようにね!