いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

恋文メールが送れない・・・

3000字以上のレポート課題を3つも4つも抱えていて、なおかつ英語の本の読書会の予習も手を付けていないのに、ネット上でこんな記事を偶然目にしてしまった・・・。ohnoさん!読む人をインスパイアーしてしまうこんな記事を上げないでください!迷惑です(ウソです)。

ぶっつけ書きと恋と計算 - Ohnoblog 2


自分のことのように読んでしまった。
記事の中の「お金の取れるレベル」というほどの文章力を持つその友人の方ほどでは僕自身ないのだが、それでも文章を書く機会が多いので、「普通以上」ぐらいではないかと、自分では思っている。


それでも、好きな女の子に対して送信するメールというのは苦手だ。僕みたいに、文章を書くのが得意な人ほど恋文メールが苦手になるという傾向は、実は意外に多いのではないか。
先日、友人と飯を食っていたときに「俺、メールが苦手でさぁ」と何の気なしにつぶやくと、喰い気味に「ウソつけ!」とツッコまれた。確かに普通の友達に送信するメールは、苦にならない。だけど、相手が好きな人となると、文章が得意であるが故にその「得意さ」を持てあまして、逆に尻込みしてしまうという結果になる。


僕の場合は、やはり相手への「効果」を気にしてしまう。要するに「ウケ」が気になって仕方がないわけだ。
こういう言い回しは相手にウケるのかな?とか、こういう持っていき方は不快になるかな?とか、それはそれは推敲を重ねるわけである。下手すると、送ると決めた日の数日前から下書き保存している時でさえある。
僕にとって、そういうメールの作成は苦悩をもともなう。しかも、その苦悩は送信後も続く。


僕だって十分わかっている。そういう人とのメールで大事なのは、メールの往信を重ねること自体であって、クオリティーではないということを。
だから、ネタを繰りだすのではなく、もっと互いの「親密度」をアップさせるような文面が必要なわけだ。しかし、そういうメールは大抵、どうでもいい話に終始する。「今日はあの映画観に行ってた」とか「今日はあの本を読んでてた」とか、僕の友達なんて付き合う前は、そんな「どうでもいい話」メールを毎日電波に乗っけていたらしい。


しかし、普段文章で「ウケ」を狙って書いている僕からすると、そんな「どうでもいい話」を、しかも愛する女性のケータイになんかに送信するなんて、もってのほかなのである。


ところで、この文章力っていうのはいったい何者なんだろうか。

僕が思うに、それは「ショーマンシップ」の別名だ。論文とか、そういうお堅い体裁の読み物でない限り、小説にしろブログにしろ、文章とは書く人の「ショーマンシップ」が試されているのではないかと、僕は最近思う。ここでこういう風に話を持って行ったらどうなるか、ここでこういう表現を使うとどうなるか、その文章を読む人に対する表現の効果を、先回りして予測する。そういうことを予測しながら書く癖がついてくると、不思議に文章もうまくなってくるのではないだろうか。


最近、大学一年生のレポートを読ませてもらう機会があった。入学して間もない彼らのレポートは、稚拙であり文章力がまだついてないということは、僕でさえも判断できる(中にはよいものもあったけど)。それはおそらく、彼らの文章がまだ「宛先」の定まっていない読み物だからだろう。宛先を定めるというのは、具体的な読み手を想定して書くことだ。でも、彼らの文章にはその宛先がまだない。一、二年生の内に書いたものは、文章という本来は読み手に向けられるはずなのものなのに、読み手に向いていないのである。どこか一人相撲に陥っているような印象が残る。
もちろん、その一人相撲を芸にまで昇華させている書き手もいるのだろうけれど、彼らの挑む一人相撲は、彼らが意図して挑んでいる相撲ではないので、到底芸とは言い難い。


僕も一年生の頃は、文章を書くのがはっきりいって苦手だった。でも、3年生ぐらいからだろうか。楽しくもあり、苦痛でもあるのだけれど、文章を書くこと自体に興味がわき始めた。ゼミが始まったのである。
ゼミが始まると、それまで不特定多数の生徒の中の一人、one of themとして対峙していた教授と、人格的なつながりができる。そうなると、その教授に書くレポートも「宛先」を定めたものとして書かざるを得なくなるわけだ。


どんな反応をするのか、こちらが知っている人が読むのだからそれなりにプレッシャーもあり苦痛だ。でもそれ以上に、「ここでこういう言い回しをしたらどう思うかな?」とか、そういうことを事細かに考えて書くという面白さもそこにはある。


僕の文章力(という名のショーマンシップ)は、3年のゼミ選び(人文系に行くか、理数系に行くか)の時に、実は決定していたんだと思う。


そしてそのショーマンシップが、今や僕の恋文メール作成の邪魔をする・・・。