今日のフジテレビは、7時から「<カスペ>お客様は神様かよ!?」という特番をやっていた。10時からは新ドラマで「モンスターペアレント」というのが始まるらしい。店に不正な要求をしてくる悪徳クレーマーや、学校に無理難題を押しつけてくるモンスターペアレンツ(要するにバカな親)が話題になっている。それと同時に、「悪徳クレーマー叩き」や「モンスターペアレンツ叩き」もマスコミでは流行っている。今日のフジの二つの番組は、バラエティーとドラマでジャンルは違えど、その部類にはいるコンテンツなのだろう。
本にもなっている。
となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ)
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ところで、当の悪徳クレーマーさんたち、モンスターペアレントさんたちは、自分たちがバラエティーでこうも滑稽に描かれていたり、ドラマでまるで血も涙もない怪物(そもそもモンスターって・・・)のように描かれることについて、どのように思っているのだろう。
それらを扱うテレビ局や出版社にはクレームは来ないのだろうか。「悪徳クレーマー叩きのクレーム」とか「モンスターペアレンツ叩きのクレーム」。僕の知る限り、そのようなことは聴いたことがない。自分の買った商品に対してあれほど威勢のよくなるクレーマーが、我が子のためならとあれほど教師に悪態のつけるモンスターペアレンツが、どうして自分のことについては「クレーム」をつけないのだろう。
単純な帰結としてそこには2パターンの可能性が考えられる。
一つめ。クレーマーやモンスターペアレンツが、自分たちについて言及しているマスメディアに、まったく触れていないということ。
でもそれって現実的にありえない。
二つめはもっと現実的。
当のクレーマーやモンスターペアレンツが、メディアの叩いているのが自分であるということすら気付いていないパターンだ。現実的に考えると、昼間に店先で店員を怒鳴り散らしていたクレーマーが、学校に殴り込んで先生に悪態を浴びせていたモンスターペアレンツが、夜うちに帰ってクレーマーをバカにするバラエティーで腹を抱えて笑い、モンスターペアレンツに精神を蝕まれていく教師のドラマに心を痛めている可能性がかなり高い。
火事場に群がる野次馬を見て、「野次馬がよく集まってら!」とのたまう野次馬がいるのはよくある話。
僕らはそのことについて、もっと自覚的になった方がいいのかもしれない。