いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

トム・ホランドの“奥手演技”が光るSF映画『カオス・ウォーキング』

MCUにおいてトム・ホランドが演じるピーター・パーカーといえば、スパイダーマンとして日夜NYの平和を守るヒーローでありながら、素顔に戻れば奥手な高校生。蜘蛛男としては事件現場までひとっ飛びなのに、自分の恋路は牛歩牛歩でなかなか前に進まないことが…

映画が人間に負けた日

『邦キチ!映子さん』の池ちゃんというキャラクター ウェブ漫画『邦キチ!映子さん』の最新話に出てくる“池ちゃん”というキャラクターが話題になっている。 comip.jp 冒頭からカフェ(ファミレス?)で知人女性を相手に雑談しているのだが、「ネトフリはオリ…

過去と現在、夢と現実が混濁していく独創的な映画『アンテベラム』

www.youtube.com 今日から公開の映画『アンテベラム』は、ホラー映画シーンを新たな段階に引き上げたジョーダン・ピール監督の『ゲット・アウト』『アス』のプロデューサー、ショーン・マッキトリックが製作したスリラーだ。 まだ観ていない人に対して、非常…

「生きててよかった」と言いたくないし、「幸せを感じる瞬間」なんて思い浮かばなくていい

わざわざ文化の日にする話でもないのだが。ある漫画を読んでいて、いろいろ不幸が重なって十年ぐらい苦労したが、最近好転してきたという登場人物が、涙ながらに「生きててよかった」とこぼすシーンがあった。 生きててよかった。 そう言えば、自分では言っ…

「マッチングアプリに理想の男がいない」と嘆く婚活女子に観てほしい映画『ロン 僕のポンコツ・ボット』

前回のエントリーについてさまざまな意見をもらった。 一番多かったのは、「いや、初回ラーメンないだろ」「初対面がいきなりラーメン屋行って何の話ができるの?ゆっくりお話できる店じゃないでしょ…」「ゆっくり会話して相手を知ることが目的のデートに、…

ラーメン店と4℃が元で男を振ってしまう愚かなあなたへ

“初アポがラーメン店”を嫌悪する婚活女子たち 最近友達のネット偵察班から聞いたのだけど、「婚活女子の界隈ではラーメンアポがNG」という、暗黙のルールがあるらしい。見知った彼氏や夫に連れて行かれるのはありだけど、大事な婚活の初アポでラーメン店とは…

ヤフコメ健全化を謳いながら「ヤフコメ奴隷」を増やそうとするヤフーの言行不一致

社会のゴミ、デジタル産廃として広く親しまれているYahoo!ニュースのコメント欄、通称ヤフコメについて、その胴元であるヤフーが運用を厳格化し、ポリシー違反のコメントを削除することに乗り出したという。 www.itmedia.co.jp もともと、酷いコメントを量…

200勝がなんぼのもんじゃい

松坂大輔が引退した。西武ファンではないし、個人的に強い思い入れのある選手でないけど、プロ野球史に残る偉大な選手なのは間違いない。 そんな中、気になったことがある。メディアのムードが「悲しい」に寄りすぎていないか? もっと、「お疲れ様」だ「す…

エイジズム、ルッキズムを先取り 今解き放たれる幻のロメロ作品『アミューズメント・パーク』とは?

今日から公開された“ゾンビ映画の父”ジョージ・A・ロメロが監督した『アミューズメント・パーク』は、長らく封印されてきた作品だ。 youtu.be 本作は、もともとは年齢差別や高齢者虐待について世間の認識を高めるために、ルーテル教会がロメロに依頼した企画…

“子ども向け映画”の枠をぶち破り現代社会に接続する『クレヨンしんちゃん』

今さら感がすぎるのだが、先日、『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』を観てきた。 延期されていた劇場公開が7月30日からで、10月のこの時期にまだ上映されているということが物語っているとおり、名作だった。 全寮制のエリート校「私立天下…

自己啓発本・ビジネス本を嫌悪 “読書家”のめんどくさいプライドの正体

もう削除されてしまったが、ツイッター上で一昨日ぐらいから、とあるブックリストが炎上していた。 「苦しい時に助けてくれたのはいつも本でした」と大上段に構えておきながら、蓋を開けてみたら、ブックオフで大量に投げ売りされているようないわゆる「ビジ…

【キングオブコント2021】好きだったネタBEST3【優しい世界】

『キングオブコント20201』は審査員の新陳代謝が大成功し、なおかつ近年まれに見る高いレベルでの戦いで、満足度が高かった。今日は、個人的に好きだったネタ3つについて書きたい。 うるとらブギーズ 蛙亭、ジェラードンと強烈なキャラクターが持ち味のネタ…

【最終回から早1週間】『ダイアンのよなよな』好きだったところ100個挙げてみた

最終回からもう1週間。『ダイアンのよなよな…』が聴けない月曜夜10時が来てしまった。 今回は、「本当の親友は好きなところが100個言える!」というテーゼに乗っ取り、これだけ好きだったんだから『ダイアンのよなよな…』の好きなところ100個を挙げられるか…

『世界で一番ゴッホを描いた男』 “職人”を“芸術家”に変えた「アウラ」の正体

世界で一番ゴッホを描いた男(字幕版) チャオ・シャオヨン Amazon 本作は、中国の深圳市近郊の「大芬(ダーフェン)油画村」という、複製画が世界的な産業になっている地が舞台。世界中からのオファーを受けて、画工と呼ばれる職人たちが、世界の名画をせっせ…

怖い! ダイアンのよなよなが終わってしまう! 危ない!

脳内再生! 読むラジオ ダイアンのよなよな… 作者:ダイアン,ABCラジオ 徳間書店 Amazon 表題のとおりなのだけど、毎週聴いていたABCラジオ『ダイアンのよなよな…』の最終回があと数時間で始まってしまう。 お笑い芸人のラジオというのは得てして聴取率の低迷…

ダウンタウン絶対王政下のナインティナインと『岸和田少年愚連隊』

ナインティナインの矢部浩之が、15日に放送された『あちこちオードリー』にゲスト出演していた。 毎回、ツボを突きまくる若林の質問力でゲストの本音を引き出しすぎるほど引き出すことに定評のあるこの番組だが、今回は特に『めちゃイケ』世代の視聴者にとっ…

SNSに書かされる

最近、下記のような騒動があった。 www.nikkansports.com この作家先生、ツイッターでフォローしていないのだが、毎日毎日誰かがリツイートやいいね!を押すもんだから、たびたび流れてくる。医師らしく内容は感染症に関しての専門的な知見であることも少な…

和牛がM-1を“完全卒業” 前人未到の“3年連続準優勝”というイカつい人生

和牛がM-1を完全に卒業してしまった。 「完全卒業」というのはなんともおかしな言葉で、実際には2年前の2019年大会後にラジオで「卒業」を宣言していた。 ただ、実際には結成15周年という有資格の期限、いわゆる「ラストイヤー」となる今年のエントリーの締…

なぜ幼児2人は死ななければならなかったか 『子宮に沈める』が想像を掻き立てる“余白”

子宮に沈める 伊澤恵美子 Amazon 2010年に大阪2児餓死事件という痛ましい事件が起きた。 大阪市のシングルマザーが、自宅マンションに3歳長女と1歳長男の2人を2ヵ月弱にわたり放置し、餓死させた事件だ。 本作『子宮に沈める』はこの事件を元にしているが、…

「威嚇したのはそっちでしょ!」松本人志×太田光 7年ぶり共演で見た「テレビの夢」

4時間半待っていた甲斐があったわ! という絡みだった。 松本人志がキャプテンを務めたフジテレビの歌と音楽を融合する大型特番『FNSラフ&ミュージック~歌と笑いの祭典~』、28日の第一夜に、爆笑問題が大トリとして出演。爆笑問題と松本、実に7年ぶりの共…

大事なことだからネットには発信しません

どうして人はネットで炎上するのだろう。 こういう漠然とした問いを投げかけるときは大抵書く内容がはっきりとは決まっていないときがこの筆者の習性なので覚えておくようにという宇宙のチリほども役に立たないクソ知識から始まったこの記事なのだが、本当に…

DaiGo発言を叩くのは自分を守るため

news.yahoo.co.jp 5年ぐらい前に長谷川豊が透析患者への自己負担を要求して、「無理なら殺せ」と書いてキャリアを終わらせていた。定期的にこういう人が出てくるたびに、人権思想という発明のありがたみを感じる。というより、普段からぼくも彼も空気のよう…

オリンピック映画『ブロンズ!』が描く“人生のピーク”からの降り方

オリンピックというと、その結果にばかり注目が行きがちだ。メダリストかどうかは大違いで、金か銀か銅かでも人生が変わってくる。「参加することに意義がある」という建前はどこへやら。今やほとんどの人はその「結果」にだけ注目してしまっている。 しかし…

『竜とそばかすの姫』レビュー 説得力がない3つの理由

細田守監督の最新作『竜とそばかすの姫』を観てきた。 インターネット上の仮想空間<U>(ユー)で人々が自分の分身<As>(アズ)を操れるようになった世界を舞台で、“歌姫”Belleとして才能が開花させた田舎の女子高生・鈴。現実と<U>のギャップに戸惑い…

ありがとうズッコケ三人組

「お、札束くれんの?w」 たしかあれは、小一か小二の時の誕生日会だったと思う。 帰り際、友だちのオダ君がくれた包装されたプレゼントの形、大きさを見て、すぐに類推したのが札束だったという想像力は子どもとしてどうなんだとは思うが、もちろん包装紙を…

シラフの女に何もできない男たちと、“名無し"で忘れ去られる女たちについて 映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』

www.youtube.com シラフの女に何もできない惨めな男たち キャリー・マリガンが演じるのは、30歳のコーヒーショップ店員、キャシー。彼女はバーでぐでんぐでんになるまで酔い潰れ、案の定、鼻の下を伸ばした男が「介抱」の名目で近づいてくる。男が狙いどおり…

『100日間生きたワニ』ワニを生き返らせてまで作るべきだったか?

いろんな意味で盛り上がっているのか盛り上がっていないのか分からない、『100日間生きたワニ』を観てきた。 www.youtube.com 言わずと知れた『100日後に死ぬワニ』(以下『100ワニ』)を原作とする劇場アニメで、公開される前からネット上では嵐レビューや…

ほしかったものをゴミに変えていく人生

先月最終回を迎えたドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』で、松田龍平演じる八作がこういう言葉をとわ子(松たか子)にかけていた。 大豆田とわ子と三人の元夫 Blu-ray BOX 松たか子 Amazon 手に入ったものに自分を合わせるより、手に入らないものを眺めてい…

『オッドタクシー』にシビれた! それはアニメの限界ではなく可能性だった【ネタバレ】

いや~おもしろかった。 本作について何がすごいといっているのは、「形式そのものが内容だった」という点で、3行目で早くもネタバレすれば、「登場人物がみな動物だと思いきや、主人公・小戸川の認知障害だった」ということ。「動物がしゃべる設定」=形式…

「ゲームは年間4本」 必死にやりくりした記憶

人と話していて唐突に、「うちはゲームが年間4本だった」という強烈な思い出が蘇ってきたので、記しておきたい。 「年間4本」というのは、ぼくと3つ下の弟と2人合わせて計4本を買ってもらえる、ということだ。それぞれの誕生日プレゼントと、クリスマスプレ…