いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「お客様は神様です」の弁証法

演歌歌手の三波春夫が言ったとされる「お客様は神様です」という言葉。 実はこの言葉について、その曲解と乱用を憂慮していた長女の三波美夕紀氏によって、三波春夫のオフィシャルサイトの方で「公式見解」が示されている。 三波春夫にとっての「お客様」と…

ディテールに引き込まれていく映画 〜細田守『おおかみこどもの雨と雪』批評〜

『時をかける少女』『サマーウォーズ』などで知られる細田守監督の最新作。 人間社会にまぎれひっそりと暮らすおおかみおとこと結ばれた女性花が、彼の亡き後、彼の血を受け継ぐおおかみこどもの我が子たちを優しく、しかしたくましく育てていく様子を描くフ…

耳すばとサマウォのこの炎上力の差はなんなのか

土曜日に“開戦”してから、本編終了後もしばらくは煙があがっていたサマウォなんですが。 『サマーウォーズ』に対して、しばしば同じ細田守監督の一つ前の作品『時をかける少女』のリメイクやもう一つ前の『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』が引…

利益至上主義によってもたらされたアメリカの医療ディストピア〜マイケル・ムーア『シッコ』批評〜

アメリカには国民介保険の制度がなく、今も多くの末加入者がいるという事実は、日本でも「消えた年金」騒動のときに少し話題になった。マイケル・ムーアは本作『シッコ』で、こうしたアメリカの医療保険の問題に焦点を当てる。 しかし、この映画のもっとも大…

「レポートはwikipediaのコピペでいいか」←よかねーよ

「レポート コピペ」でtwitter内検索まとめ - Togetter 「コピペやろうかな(笑)」みたいな願望の吐露や、話半分みたいなこともあるんでしょうが、それを考慮しても唖然とはしますよね…。 この一覧を読んでてふと気づいたのは、全体的に「コピペを駆使して…

もっと単純でバカバカしい話でよかったような〜ジョン・ファブロー『カウボーイ&エイリアン』批評〜

タイトルは『カウボーイ&エイリアン』なんだけど、これはそのまんま西部劇+SFアクションという意味をさしているともいえる。アイアンマンシリーズのジョン・ファブローがメガフォンを取ったSFカウボーイムービーだ。どうもいろんな要素を詰め込みすぎてい…

憂国者のパラドクス

昨年の夏に盛り上がリを見せたフジテレビ関連の騒動や、今も話題のまっただ中でありつづける放射能について、ネット上で浮かんでは消える流言をみるにつけ、一つの興味深いパラドクスがあることに気づく。 それは、フジテレビと韓国系企業の間に特殊なつなが…

「震災」が刻印されることが不可避だった映画 〜園子温『ヒミズ』批評〜

一言で言えば、原作と別物と考えたら面白かった!である。 これまでと同様、全編にわたり正とも負とも見分けのつかないパワーに満ちあふれた映画だ。役者のエクストリームな演技と強烈なメッセージ性(やたら説教臭い言葉がつづくのに、なぜ園さんの映画はク…

「好き」は報酬じゃない

「今時よくいる馬鹿な女は無理なんだよね」と言っていた人を好きになった。 見た目を適度に鍛えて、清潔感を大切にしていた。 ゆるふわとかモテ服とかじゃなかったけど、 キャリア系の雑誌を読んで、きちんと見えるようにはしていたし、 化粧も髪型も、人並…

憧れについての一考察〜ウディ・アレン『ミッドナイト・イン・パリ』批評〜

かつてのパリに憧れる小説家志望の青年が実際にパリに訪れ、真夜中だけ20’のパリへタイムスリップできる不思議な体験をするというロマンチックコメディ。B級映画の脚本のリライトで生計をたてているギル・ペンダーは、婚約者のイネスとパリに旅行におとずれ…

ニコラス刑事、そんな濃い顔で指名手配されたら大変でしょ!?〜ニコラス・ケイジ『ハングリー・ラビット』批評〜

ここ数年、ニコラス刑事といえばどうしても作品より名前が先行しがちで、観たらがっかりという映画が多かったのが個人的な感想だが、本作『ハングリー・ラビット』は予告編で面白そうなので期待してみてみた。 ニューオリンズに住む高校教師のジェラード(ケ…

内定のない就活生がつらいのは内定がないからではない〜現代にはびこる内定予定説〜

社会学者のマックス・ヴェーバーに『プロテスタンティズムの精神と資本主義の精神』という本がある。 長々しくかつ仰々しいタイトルだが、本書の立てた問いはとりわけシンプルだ。それは、西欧諸国において資本主義はなぜここまで繁栄したのか?という問いだ…