女の人が話し始めるとき、「待って?」「聞いて?」「一個言っていい?」という口癖があると思う。
本当によく聞く印象がある。体感としては、100人中1億人ぐらいに言われる気がする。それぐらいよく聞く。
一方、男からこうした言い回しを聞くことはまずない。100人中マイナス100人ぐらいの体感である。
もっとも、「私はそんなこと言わない」という女性も中にはいるだろう。ここでは「一部女性」としておこう。ああめんどくせ。
この口癖をどうとらえればいいのだろう。女性の発言権がなかった時代の名残りなのだろうか。それとも、これは生物学的な性差として片付けられるのか?
どちらにせよ、経験上、この3つの口癖が飛び出したときは、「本人の中でエモい感情が湧き上がって来ている状態」であり、「面白い話が飛び出す前」の兆候の可能性が高い。コンサートで言うと、待ってましたというヒット曲のイントロが流れ出した瞬間である。
というわけだから、「待って?」「聞いて?」「一個言っていい?」の口癖が飛び出したときは、邪険にしてはならない。「待つよ」「聞くよ」「一個と言わず何個でも」が模範解答。でないと、面白い話を聞き逃してしまう。
そもそも、ネットという虚空の空間に投げられた言葉ならいざしらず、リアルの空間で「待って?」「聞いて?」「一個言っていい?」と言ってくれるのは、「言うほどの関係性」がないと始まらない。貴重であり、ありがたがらないとならない。
いずれ、ぼくが老いさらばえて、誰からも相手にされない老人になれば、「待たなくていい」「聞かなくていい」「一個も言いたいことありません」になるのである。いや、そんな言葉も投げかけられず、終わるだろう。
文字通り「言われるうちが華」なのだ。