いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

『おっさんずラブ』新章スタート…ブレなさに安心した!

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 昨年大ヒットし、今年は映画版も公開された『おっさんずラブ』の新章、『おっさんずラブ‐in the sky‐』が昨日、ついにスタートした。
 
 田中圭吉田鋼太郎らが乙女チックに胸キュンするおっさん同士の恋愛を描いたラブコメディーだというのはもはや説明不要だろうが、前シリーズからキャストは田中と吉田のみ続投で、そのほかのキャストを一新。舞台も不動産会社から、航空会社に移す。まったく新しい世界で、あたらしい恋愛を描くのが特徴で、いわば「リブート」と捉えて差し支えないだろう。

 変化には期待とともに失望も伴うもの。なかでも、前作で田中(春田創一)の相手役で、吉田(武蔵部長)の恋のライバルであった林遣都(牧凌太)の不在を嘆く声が大きかった。牧の誕生日である放送日前日の11月1日に、SNSで祝福の声があがったのが、根強い人気を物語っているだろう。

 愛が深いゆえに、憎しみも深くなるということなのか。一部の牧ファンがSNSで今回の新章に対して「アンチ」となっている姿も目撃された。かなしいことである。ただ、林=牧が加わる前にも実は『おっさんずラブ』は単発ドラマで制作・放送され、そのときも、連続ドラマから引き継がれたキャストは田中と吉田のコンビだけだった。つまり、林=牧が外されたのは、何か思惑があったとは考えにくいのだが…。

 
 そうした不安含みの新章が昨夜スタートしたが…、蓋を開けてみると拍子抜けするほど安心した!キャストは代わりはしても、前作(ドラマ版ファースト・シーズン)での「キモ」となった部分はまったくブレていなかったからだ。
 
 前作で、われわれ視聴者を熱狂させたのは何かというと、「いい人たちの真っ直ぐな愛」が描かれたということだ。
 
 このことがどれだけ難しいというのは、なかなか理解されにくい。昼を描くために夜を描くように、男を描くために女を描くように、本来、「真実の愛」を描くためには、どうしてもそこに「偽りの愛」を描きたくもの。その方が簡単であり、分かりやすいからだ。

 また、下心や裏切りがあることで、物語が盛り上がる。それはわかる。

 それに対して、『おっさんずラブ』は、「偽りの愛」に頼ることなく、「真実の愛」のみを丹念に描き、なおかつエンタメ性を兼ね備えた作品に仕上がった。「いい人たちの真実の愛」しか描かれない。だから、視聴者はその世界に安心して浸ることができるのだ。
 
 詳しくは書かないが、第1話を見た限りは、「いい人たちの真実の愛」がまた観られる! という期待感が湧いてくる。

 

 次に忘れてはならないのは、この荒唐無稽といえる「おっさん同士の胸キュン恋愛」の世界を成り立たせているのは、出演陣の上質な演技にほかならないということ。キャスティングという点でも、本作はブレを感じさせない。
 
 今回、田中、吉田と共にメインを張るのは、千葉雄大と戸次重幸だ。千葉は、どちらかといえばイケメン系の林遣都とはまた別のタイプの美形で、神の采配ではないかというかわいさを持っており演技も安定している。一方、大泉洋擁するTEAM NACSの戸次は言わずもがな。彼らの演技という土台が安定しているがゆえに、視聴者は安心して真実の愛の物語に入っていける。
 
 第1話についてもう少し具体的に述べると、劇場版のお祭り気分を引きずっているというか、「肩に力入ってる? 大丈夫?」と心配になる部分もなくはないが、これは、期待値が高い続編への「覚悟」と受け取っておくべきだろう。
 
 まずまずのテイクオフをしたと思われる本作。これからどこへ連れて行ってくれるかが楽しみである。