いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

クロちゃんを批判できる人は95%もいない

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 すっかりお騒がせ番組となった『水曜日のダウンタウン』であるが、ここ最近注目を集めていた某恋愛リアリティ・ショー風コーナー「モンスターハウス」の結末で、クロちゃんがまたしても批判にさらされた。

 しかし、今度ばかりはぼくはクロちゃんに対して「正直者」という印象をもったのである。
 
 (※この記事は以後、「あの企画は台本あるからw」「ヤラセだからw」といったツッコミは受け付けない。筆者はその可能性について百も承知であり、その手のツッコミで思考停止してしまう人間たちは「この議論の入口にも立てていないかわいそうな人」「頭がいい気でいるが実は一番頭の悪い人」だからだ)
 
 男女六人が1つのシェアハウスで一緒に暮らしたこのコーナー。クロちゃんは最終話において、二人の女性に告白した。一人に断わられたあと、すぐにもう一人に告白。2人目の女性には返事を保留されていたが、その模様を全国ネットできっちり放送されたあと、生放送において無残にも散った。


 番組では、視聴者投票でクロちゃんを「許す」「許さない」の決が採られ、95%という圧倒的な多数の「許さない」の票が集まった。

 特にクロちゃんが二人の女性に相次いで(同じ指輪を捧げて)告白したことが訴状に上がっていたが、果たしてこれはそんなに許されざることなのだろうか。
 これだけ性にオープンになった現代にもまだ、うっすらと「一途主義」のようなものが蔓延している。「複数の相手をキープするのは不純」「思いは誰か1人だけに全力投入されなければならない」みたいな思想がいまだにマジョリティなのだ。

 たしかに、1人の相手だけに好き好き好きの一本槍で行って、そのままゲットできるのであれば、それに越したことはないだろう。
 ただ、実際のところは恋愛がそこまで簡単にうまくいくことのほうが稀である。ほとんどの男女は、少なくとも交際までは複数の相手と同時並行的にやり取りを重ねるものではないか。
 
 たとえ一度断られても諦めずにもう一度行く。それも自由であるが、一方で複数の手駒を持ち、「こちらがダメならあちらへ」と切り替えていくことも可能なはずである。

 恋愛も需要と供給の問題である。自分の思いだけではどうしようもない。自分のスペックとの兼ね合いで、妥協に妥協を重ねて成立するものではなかったか?
 それを、2人の女性に同時期に告白したからといって、批判されるようなものだろうか。それともあの「許さない」に投じた全国の95%の視聴者は、いつも1人の相手に全力投入すれば、恋人をゲットできるような手練の持ち主たちだったのだろうか。
 
 「お前らだって同じようなことはするだろ」。そういう気持ちを何年か前にも味わったことがある。
 
 それはあるテレビ番組で、男性お笑い芸人がハニートラップにひっかかる、というドッキリだった。ドッキリのターゲットが仕掛け人の美女に引っかかり、一夜を共にできると思いきや、床が抜けて1階に落とされるという内容だった。
 ドッキリの途上、その男性芸人が美女と二人っきりになると、赤ちゃん言葉を使いだしたのだ。それを、別室でこっそりながめていた女性タレントどもが、盛んに「気持ち悪い」とか抜かし、バカにしだした。そのことにぼくは憤りを感じたのだ。
 
 恋愛は、人間がいつも心にまとっている鎧を脱げる数少ない瞬間である。二人っきりになれば、つい赤ちゃん言葉になってしまう人だっていることだろう。人が一番イノセンスに、無防備になった瞬間。それを笑う女たちに腹が立ったのである。
 
 そうしたドッキリ自体が腹立たしいとか、そういうことではない。ドッキリで笑われるのもお笑い芸人の立派な仕事だとぼくは思う。ぼくが言いたいのは、意中の女性と2人っきりになり、赤ちゃん言葉を使うことを女たちがあざ笑ったことで、「どうせお前だって恋愛中はそんな風になるだろ」と思うのだ。
 
 今回、クロちゃんを擁護したくなったのは同じことだ。42歳の独身男が、カメラが仕掛けられているのは承知の上で、なんとかして恋人を作ろうと悪戦苦闘した記録なのである。それを、誰が批判できるのだろうか。
 複数の女性に告白したクロちゃんに石を投げられるのは、常に1人の相手だけを追いかけ続けている者だけだ。そしてそんな人は全国の95%にのぼるワケがないのである。