いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座、直毛によるブログ。今ここに、ポスト宮根誠司を目指すことを誓います。

【映画評】インフォーマント!



オーシャンズ」シリーズのスティーブン・ソダーバーグとマッド・デイモンが組んだ一作。インフォーマントとは「情報提供者」の意で、主人公のマーク=デイモンは、大企業の重役という安泰の地位につきながらも、大規模な価格カルテル=不正をFBIに向けて告発することになる。90年代前半に起きた実話が元になっています。

この映画、予備知識を得ることなく観始めたのですが、結果的にそれでよかったと思います。愛する家族もありながら、巨大な企業を相手にたった一人で立ち上がった内部告発者――そうした勇ましいテイストの映画かと思って観始めましたが、DVDのジャケットが示す通り、内実はどこかそれとはちがう。

当初それは、マークの些細な「ミス」として記されます。このマークという人、ちょいちょいFBI捜査官に怒られるようなどこか抜けた人物なのです。その「抜け」は最初は些細なものですが、徐々に大きくなっていき、「あれ…この人…」という風になっていく。マークに味方しようとしていた劇中の人物と同様、観客も彼の意外な素顔に気づき、気持ちが離れていく。

おもしろいのは、後半になるにつれて本来はシリアスな場面なのに鳴っているBGMはひょうきんというか、まるで「サザエさん」のそれのようになっていくギャップです。劇中の人々はマークの言い分に本気で困惑しているのですが、それを観ているわれわれとしていえば、喜劇でしかないのです。

この映画、観ていてどこか既視感に襲われました。突如現れた勇敢な内部告発者に、思いもよらぬ別の疑惑が浮上する……そんな話を最近どこかで聞いたことがあるような気がするのです。マークのように息を吐くように嘘をつく人もいるものです。

事実は小説よりも奇なり。そして、どこにでも転がっているものなのかもしれません。