いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座、直毛によるブログ。今ここに、ポスト宮根誠司を目指すことを誓います。

【映画評】ネオン・デーモン

https://www.youtube.com/watch?v=CB_nPauv2gs:MOVIE


ニコラス・ウィンディング・レフンの最新作「ネオン・デーモン」は、都市の耽美主義をつきつめた、映像美が連続する一作です。エル・ファニング演じる、片田舎からロスのモデル業界に単身乗り込んだ16歳の少女ジェシーがヒロイン。

レフンさんほど、美と暴力が映像の中に同居する作家も中々いません。有名なところでいうと「ドライヴ」のエレベーターのキスシーン。ヒロインと濃厚なキスをした数秒後に刺客をストンピングで踏み殺すあのシーンこそ、うっとりするような美と血生臭い暴力の不自然な混交です。「きれいなバラには刺がある」というのともちょっと違う。そういうのがあまりに多いものだから、レフンさん本人がその混交にフェティッシュな快感を得ているようにさえ思えてくる。

さて、そんなレフン監督の最新作が描くのは、まさに美を追求していった先にある暴力です。その美貌を武器に、魑魅魍魎としたモデル業界に踏み入っていくジェシー。当初は素直だった彼女ですが、その美しさがゆえにもてはやされていくうち、その自信は醜いうぬぼれへと変貌していきます。しかし、美においては内面は関係ないのです。彼女の美貌を前にオーバー20歳のモデルたちは商品価値がないと残酷に仕分けされていく。

ぎょっとするような映画のクライマックスは、美にとらわれた女達のグロテスクな成れの果てです。美しさに内在する暴力。レフン監督がここ数作で描いているものの集大成といえるかもしれません。