いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座、直毛によるブログ。今ここに、ポスト宮根誠司を目指すことを誓います。

【映画評】ドント・ブリーズ


聖夜にとっておきの、公開中の映画をご紹介。
そこは今や廃墟の代名詞となった米デトロイトの貧民街。夜な夜な盗みを繰り返す若者3人が、大金の眠るあばら家にまんまと侵入。イージーに思えた盗みだったが、そこに住むイラクで失明した傷痍軍人が目を覚ましてしまう。はたして、彼らは怒れる悲しみのモンスターが住まう檻の中、袋のネズミとなってしまうのです。

本作「ドント・ブリーズ」は、その名のとおり、「息したらブチ殺される」ような状況に陥った3人の若者の目線から語られるホラー映画です。


相手の盲目のおっさんがとにかく得体の知れない不気味さを出しています。首から上は老人なのですが、首から下は現役感バリバリの体躯です。襲われたらタダじゃ済まないというのが、ヒシヒシとら伝わってきます。
目は見えない。けど居場所が見つかったら絶対にだめ!という、なんかテレビゲームにありそうなシチュエーションだと思いますが、そういう話です。
ストーリーは出られそうだけど出られない! 出られそうだけど出られない!の繰り返しではあるのですが、ありとあらゆるアイデアが盛り込まれており、飽きません。


おっさんのキャラクター像もたまりません。この男をモンスターに変えてしまったのは、彼の娘さんの死をめぐるかわいそうな背景があるのです。このモンスターの怒りとともに悲しみも背負ったキャラクター像は、単なるホラー映画のモンスターとはまた違う深みを与えます。映画はそんな彼を完全な"他者"としては描いておらず、観客も感情移入してしまう瞬間があると思います。
主人公たちがいろいろやらかすのも、そんなモンスターに知れたら大変なことになるぞ……という心地よいフリになっている。
途中までは、「え?これおっさんかわいそうじゃね?」と思えていたのですが、ストーリーが進むにつれて明かされる、おっさんの壊れっぷりもまたサイコー。あれで完全にぼくは楽しめる側になってしまいました。

ネタバレはしませんが、みなさん覚えておいてください、キーワードは「スポイト」です。女の人は、自分の身に"アレ"が起きると想像したら全身の毛がさかだつのではないでしょうか? ちかごろ巷にはユルい「変態」が増殖気味ですが、彼みたいなのを真の「変態」だとリスペクトしたいものです。

とにもかくにも、怖かったり驚いたり、ちょっと笑っちゃったりする。そんなボリューム満点のサイコーなホラー映画なのでした。