いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】グランド・イリュージョン 見破られたトリック

どう考えてもこいつの言ってることは間違っているけど、こいつのやることは悪いけど、どうしても嫌いになれない、むしろ積極的に好き!という存在があります。理性と感情のかい離。非常に悩ましいところですが、それは映画にもいえて、「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」は、ツッコみどころだらけだけどどうしても嫌いになれない一作です。

大富豪の鼻を明かした前作から数年、正義のマジシャン集団「フォー・ホースメン」は、FBIの捜査をかいくぐり雲隠れしていた。そんな彼らが、あるIT企業の悪行を知らしめるべく、2年ぶりに公の場に姿を現します。ところがその会場で、彼らの「ショー」は誰かに阻まれた上、あろうことか彼ら自身が何者かのトリックの餌食になってしまいます。


まず言っておきたいのは、第1作を前もって観ていたほうが絶対にいい。これは鑑賞した100人中100人がいうと思います。というのも本作は、鑑賞者が第1作の大オチを知った前提となってストーリーが進みます。第1作を観ていないと理解が遅れますし、なによりも第1作を観る面白さが大幅に減ってしまいます。その他にも第1作からの流れを引き継いだところが少なくないため、第1作鑑賞はマストといえる。

前作から引き続き、ジェシー・アイゼンバーグ演じるアトラス、デイヴ・フランコジェームズ・フランコの弟)演じるジャックらの軽妙なやり取りがたまりません。一種ケイパーものですので、「オーシャンズ」シリーズが好きなら絶対おすすめ。

先述したようにツッコみどころも少なくない(例えばチップを奪う場面での不必要で謎めいた「パス回し」など)。ぼくは都合2回見たのですが、「ここっておかしくね?」とか「ここっていらないよね?」というところはたしかにあります。そして何よりも鼻白んでしまうのは、ラストで明かされる「真相」ですよね。あんなのがありなんだったら、第1作はなんだったんだ?って話になりますもんね。

ただ、そういう瑕疵を全部チャラにさえしてくれるのが、マジック披露のシーンです。これも一種の外国人コンプレックスかもしれませんが、ぼくにとってこのシリーズの醍醐味って、フォー・フォースメンがマジックを披露→聴衆がいかにも欧米的な熱狂(Yeaaaaaaaaah)、そしてそこにブライアン・タイラーさんによる音楽がドーン!と鳴るところだと思うのですね。勢いだけじゃねーかと言われたらそれまでですが、この3連コンボだけでぼくはご飯が何杯もいけるところがある。

そういう意味でこの映画、ぼくにとっては「完璧ではないけど好きな作品」と言えます。