いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

「こち亀」終了で期待したい漫画界の「変化」

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160903/k10010667731000.html
NHKが報じていることでも事の重大さがわかりますが、「こち亀」こと「こちら葛飾区亀有公園前派出所」が、17日発売の週刊少年ジャンプ掲載分をもって終了するとのことです。同日に単行本200巻も発売されるとのこと。



(あくまでもこれは夕焼けをバックに羽ばたくかもめです。あしからず)


最終回を前に、Kindleで一部コミックスの期間限定の無料版が出ているようです。


個人的には、「大好きだけどしばらく会っていなかったひいじいちゃんが大往生した」ような感覚があります。食べ物がのどを通らないほどのショックはありませんが、ちょっと悲しい、みたいな。中学時代からでしょうか、単行本50巻あたりから集め始め、120巻ぐらいまでは追いかけて、今も実家に眠っているはずです。ハマったときの回なんて、腹抱えて笑ったものです。

こち亀」が終わったからといって右にならえ、とはならないでしょうが、漫画界に期待していることがあります。それは「長編化」の流れに歯止めをかけることです。

現在、人気漫画は「長編化」の一途をたどっています。かつて「こち亀」が100巻に到達してことで驚愕したものですが、今や100巻以上ある作品なんてざらにあります。しかも「こち亀」はそれなりに続けることが可能な一話完結の形式ではありましたが、今ではストーリー漫画でも長編化が著しく、「30巻」「40巻」といってもそんなに驚かれない。それぐらいのところにまで来ている。

もちろん、常に面白いならばそれでも問題ないですが、そうばかりであるわけではなく、ダラダラ続けることによって傑作が秀作に、秀作が駄作になってしまう例も数知れません。

こうした傾向は商業主義的な側面が後押ししているのでしょう。以前、出版関係者の方に「重版が3、4回かかったあたりから札を刷っているようなものになる」と教わったことがあります。コミックス流に言い替えればそれは「一度ヒットすれば札を刷っているようなもの」となるでしょうか。一度人気に火が付けば、どれだけ中だるみしようと、そのネームバリューである程度は読者を引っ張っていける。切りのいいところでスパッとやめて新しい作品を生み出す労を費やすより、本来は終わるべきものをゾンビのように生きながらえさせる方が、経済的には有効でしょう。ぼくでもわかります。

けれど、それは果たして「読者ファースト」なのかといえばそうともいえず。ダラダラダラダラ水増しされていく愛読漫画に、残念な気持ちになったことはただの一度や二度ではないでしょう。

こち亀」自体、「切りがいい」かとはお世辞にもいえません。もはや遅すぎたといえるぐらいですが(ただ、70巻〜110巻ぐらいは大好き)、それでも、長編化のトップランナーとして「終わり」の先鞭をつけました。流れが変わることを祈って。

とりあえず、秋本治先生、お疲れさまでした。次回作を楽しみに待っています。