いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】ブレイク・ビーターズ

https://www.youtube.com/watch?v=0q2CdtW5wJI:MOVIE

久々に、熱いやつらをみて熱くさせられたました。本作「ブレイク・ビーターズ」は、フィクションではありますが、1985年ごろの東ドイツにおいて突如として若者の間で流行ったブレイクダンスブームを描いた映画です。

目的なく生きていた主人公、フランク・ザツケは、たまたま鑑賞したアメリカ映画「ブレイク・ストリート」(これは本当にある映画)で、ちょっと古い言い回しを使うと、完全にブレイク・ダンスにヤラれてしまいます。フランクは完全にブレイクダンスに恋をし、仲間とチームを作り活動を始めるのです。

まさに恋と同じで、表現は国境とか政治とか言語とか、ましてや思想なんか関係なく、伝わる人にはどこでだって伝わるのですね。本作はそのことを描いています。自由といえない社会主義政権下で、ちょっと場違いな服装でストリートダンスを始めるフランクたちの姿は、どこか映画「サイタマノラッパー」シリーズの主人公たちに似たところがあります。ダサいけど、ひたむきな思いはカッコイイ。

そんなフランクたちを当局が黙って見ているわけがありません。フランクたちは目をつけられ、呼び出されてしまう。

けれど、当局は何を思ったか、彼らにダンスをやめさせるのでなく、管理下に置くという方策をとり、ここに摩訶不思議な「社会主義統制下のブレイクダンスチーム」が出来上がってしまうのです。

ストリートという草の根から始まったブレークダンスと、トップダウン式の社会主義という、まあこれほど水と油というものもありません。そこが面白い。

途中、サークラ問題が意外とドロドロしてきてちょっと話が脇には逸れた気がしますが、それも最後には本流に戻ります。話のまとめ方がちょっと予定調和感もありますが、それにしてもラストのダンスシーンは超かっこいい。人に笑われようが、反対されようが、好きなことを貫く熱いヤツらが見たい人にはぜひぜひ、お勧めです。