いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ


リュック・ベッソン率いる「ヨーロッパコープ」制作のアクション映画で、2004年の「アルティメット」の続編です。ぼくは前作を見ていないのですが、未見でもなんとなく楽しめる作品に思えます。パリのバンリュー(郊外)にある架空の隔離地区「13地区」が舞台です。ある警官殺しをきっかけに始まる隔離地区に住まう移民たちと、地区をなきものにしようとたくらむ者の戦いを描いています。

キャラの立った主人公ふたりがかっこいいです。ひとりはパラメーターが回避能力よりで、パルクール(壁をピョンピョン飛び跳ねるアクション)を操る住民のレイト。もうひとりはパラメーターが攻撃力重視で、ジークンンドー遣いの正義感あふれる特殊部隊のダミアン。ダミアンのカンフーアクションも楽しいですが、とくにレイトのパルクールが見ものです。追っ手から逃げる場面があるのですが、「人間ピタゴラスイッチ」の様相を呈しており、ワクワクしてきます。地区の外と内、境遇をちがうけれど親友という設定もまた、熱くなるではないですか。

ただし結末に関しては、あれほどの悪だくみをした黒幕が、後に重い刑罰が下されるにしても、ビジュアル的にはそれだけのお仕置きかい! という物足りなさはあります。また、なによりも、みんなで結集してあれだけ必死になって守ろうとしたものを、結果的にあっさり壊してしまうところもちょっと理解しがたいです。たしかに冒頭ではレイトが、独立ではなく地区の外との融和を唱えてはいましたが……。じゃあ、何のために彼らは命を懸けて潜入したんだという話です。

そのほか、冒頭のダミアンの女装潜入ミッションの場面は尺とりすぎじゃね? とか、いまどきチューインガムでトラップ仕掛けるの古くね? とかいろいろ不満な点は残ります。が、現実のフランスでも移民社会化が進む中、権力に立ち向かうために力を合わせる異民族たちという、非常にどストレートな熱い映画だと思いました。