いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】トレーニング・デイ

トレーニング デイ [Blu-ray]

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デンゼル・ワシントンが、当時の彼としては異例の悪人を演じ、アカデミー主演男優賞に輝いた一作。イーサン・ホーク演じる新米刑事を、悪の道に引きこもうとする悪徳ベテラン麻薬捜査官を演じる。

ワシントンは、初心を忘れて悪堕ちしてしまうベテラン役としてはこのおよそ10年後にロバート・ゼメキス「フライト」で酒とドラックに溺れるベテラン機長を演じることとなる。あの作品では、最終的に善に目覚めて罪を償う深い人間性を表現するが、この「トレーニング・デイ」ではガチで最初から最後までクソ野郎なため、清々しい。

新米ジェイク(ホーク)が着任初日に目の当たりにするのは、指導官であるアロンゾ(ワシントン)の悪行の数々。新人に対して先輩風吹かして悪ぶるバイトの先輩いるいるーとそこまでは思えるのだが、アロンゾの行いは次第にエスカレートし、取り返しの付かないところまで行き着く。そしてその行為には、あまりにも身勝手な彼のある思惑があった。

アロンゾはジェイクに「狼を倒せるのは狼だけ」と諭す。すなわち、悪を倒すには悪になりきるしかない、といい、自身の行為を正当化しようとする。けれど、ことが明らかになっていくうち、彼が狼の群れの中でも嫌われていることがわかっていく。悪の集団だって、悪いことばかりしていればいいわけではない。ときには「善行」が身を助けることだってある。ジェイクはそのことを身を持って証明し、対するアロンゾは、悪になりすぎたために身を滅ぼすこととなる。

この映画が教えてくれるのは、性格の悪い奴は、悪人の集団の中であろうと嫌われるということ、そのことに尽きるだろう。