人の容姿よりコンプレックスの方が気になってしまう件
よく言われているのは、サイドの髪を顔の輪郭にぴったり沿わせることでエラを目立たなくすることができるテクニックです。たしかにエラは隠れ、目立たなくなる。実際にテクニックには効果があるのです。
けれど、そうなってくると今度は「あ、この人は顔のエラを気にしてるんだ」と、その人のコンプレックスの方が気になってくるのです。
容姿は大きな問題で、現にそのようなコンプレックスを作る種です。けれど、実は容姿について語れることは少ない。なにせ、自分の容姿なんて親からもらったくじ引きみたいなものです。その人の意思とか願望が反映されたわけではない。それ以上掘り下げようのない情報です
その一方で、コンプレックスは心の問題で、いろいろな想像をかきたてます。
髪で顔の輪郭を隠す話で言うと、「ああ、この人は自分のエラが気に入らないのかな?」とか「エラのことで過去にいじめられたことがあるのかな?」とか、「苦心していまの髪型にたどり着いたのかな?」などといったその人のサイドストーリーが、頭の中に湧いて出てきて仕方ないのです。デリケートな話題で本人に聞けないだけに、よけいその妄想は広がり続けます。
ただの妄想ですから、本当にそれらの髪型や服装にコンプレックスを隠す目的があるかはわかりません。それに、服装や髪型はあくまで自己満足です。他人にどう思われようが、本人が「エラが隠れている」と自覚できればそれでいい、ともいえます。
けれど、ネットの普及もあってか、メイクや服装を駆使し、コンプレックスを隠す方法についてはする側のみならず、それを見る側にまで共有されつつある。そんな中で、コンプレックスを隠すことによって、コンプレックスを知られてしまうというのは、なんとも皮肉な話ではないかと思った次第であります。