いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座、直毛によるブログ。今ここに、ポスト宮根誠司を目指すことを誓います。

【映画評】G.I.ジェーン

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ストーリー

アメリカ海軍情報局に所属するジョーダン・オニール大尉は、男女差別雇用撤廃法案を唱えるデヘイヴン上院議員の要請で、志願者の60%は脱落するといわれる最難関のアメリカ海軍特殊部隊 (実在のSEALsをモデルにした架空の偵察部隊) の訓練プログラムに挑むことになる。そこで彼女を待っていたのは、ウルゲイルたち訓練教官による想像を絶する扱きであった。


昨日はジョーの映画でしたが、きょうはジェーンです。リドリー・スコット監督、デミ・ムーア主演で、海軍特殊部隊の入隊訓練に挑む女を描きます。公開当時、ぼくは小学生でしたが、丸刈りデミ・ムーアの姿は記憶に鮮明に残っています。彼女もまた、ナタリー・ポートマンシャーリーズ・セロン瀬戸内寂聴、そして峯岸みなみと連綿と続く丸刈り系女子のひとりに数えられるとでしょう。

オニールの丸刈りは、ストーリーの中盤で「男と同等に扱え」という意思表示として彼女自身の手によってなされます。しかし、この映画を観終わって、男性隊員たちと打ち解けたオニールの姿をみても、どうしてもスッキリできないところがあるのです。

それは、どうみても、オニールが男性隊員以上に過酷な目に遭っているからです。入隊直後、オニールは他の隊員にハブられ、上官にも目の敵にされます。さらに上官には後ろ手に縛られた上に殴り合いをし、顔面血だらけです。それだけではありません。訓練の外では政局に巻き込まれ、身に覚えもない疑いもかけられる。普通の隊員以上に過酷な状況に置かれている。

しかし、それらを克服してようやく一人前と認められる。オニールだけは、他の隊員が特殊部隊に入るために耐える「イニシエーション」だけではない。同時に、女が男の世界への「入隊」を許されるための「イニシエーション」も課されているのです。つまり彼女の前だけには、他の男性隊員の2倍の厚い壁を立ちふさがっている。それのどこが「男女平等」だというのでしょう。

これはしかし、現実社会によくある光景です。男に有利な条件、男の馴染みの形のレースに女性が参戦させられる。その不利な状況下でも、男と対等に渡り合えて初めて「できる女」とみなされる。

しかも、この話のミソなのは、件の「男並みの条件」が、オニール自身が強く望んだことということです。公正を望む彼女の発言はいさましく、勇敢です。けれど、その反面、彼女のそうした発言こそが、他の女性のための門戸を狭めている(つまり、彼女ほど有能で根性がなければ入隊できなくなる)こともまた、皮肉な事実なのです。