いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】ピクセル


映画『ピクセル』は、往年のレトロゲームに出てきたキャラたちの姿をしたエイリアンが、地球に攻めてくるという奇想天外なSFコメディだ。初めてトレーラーを観たときは、どちらかというと否定的な意味で驚かされたが、実際に見てみると思ってたほど悪くない。いや、むしろいいぞという感覚だった。


アダム・サンドラーが演じる主人公は、子どものころにレトロゲームで栄光を掴んだ元少年。いまはしがない電気工なのだが、レトロゲームが攻めてきた! ということで地球の緊急事態を前に、彼に白羽の矢が立つ。

この映画は、設定の妙があったと思う。具体的には、主人公の親友が大人になって○○○になっちゃってた!(いちおう伏せ字)という設定だ。この設定があることで、序盤のお膳立てが非常にスムーズなのだ。もし親友が◯◯◯でもなかったら、もっとダラダラしていただろう。

また、親友が◯◯◯になっていたという設定は、もう一つ効用がある。それは、観客に「親友が◯◯◯になっちゃう」という荒唐無稽を先に見せておくことで、その次に来る「ゲームキャラを模したエイリアン」というもっと荒唐無稽な設定が、受け入れやすくなる下地を作っているのだ。なんというのだろう、親友が◯◯◯の時点で、映画への目線がグッと低くなった気がする。

主人公とヒロインの月9かよ! という「あんなやつ大嫌い!」「お、おれだってお前なんか!」からのデレデレの展開も最高。アラを探そうと思えばいくらでもあるが、登場人物たちのゆるいやり取りがなにより楽しいから別にどうでもよくなってくる。

レトロゲームがエイリアンになって攻めてきた」というもうめちゃくちゃとしかいいようがない設定を、ほぼ2時間に抑えた力技は、見ておいて損はないだろう。