いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】俺たちは天使じゃない(1989年)

俺たちは天使じゃない [DVD]

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1935年、吹雪が襲う米東部のとある刑務所で囚人の脱走が起きた。死刑執行直前となった殺人犯のボブが脱獄を画策し、たまたまその場に居合わせた窃盗犯のネッドとジムが、なりゆきで一緒に脱獄をすることに。
ボブと離れ離れになった2人は刑務所の追手を振り切るため、ある小さな街に潜入するのだが……。


ロバート・デ・ニーロショーン・ペンという2大スター(多分当時はまだ、デ・ニーロだけがスターとみなされていたと思うが)共演の一作。
国境を越える手続きの際に神父だと偽った2人だったが、実はその街を訪れるはずだった別の神父2人組と間違えられ、教会に招かれることに。信仰心のまったくない2人が、キリスト教の権化といえる教会に紛れ込んでしまった、さあ大変というなりすましコメディだ。1955年公開の同名タイトルの映画のリメイク。


中盤から展開が鈍重になり、ギャグもややウケというのが多い。それから、「天使じゃない」といいながも刑務所に入った理由などの人物描写が弱いため、この2人がどんなに悪人かなのかがわからない。
けれども、さあ街を突破するぞというクライマックスでこの当時まだペーペーだったショーン・ペンによる嘘から出た真のような説法は、なかなかの見せ場だ。

全てを失ったあとでも信じることだけは誰にでも許されている、という彼の訴えは胸を打つ。
最初はたどたどしく自信なさげ(あたりまえだ、即興なのだから)でありながら、徐々に口調に自信がみなぎっていくペンの演技も圧巻だ。


いわゆる「最初からの善人より、ヤンキーが更生したときの方が持て囃されるのはおかしい」という部類の反感がわいてこないのは、あまり盛り上げず、ひっそりとした終わり方だからだろうか。