いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

かなり汎用性が高いたった1つの危機回避メソッド


「男は敷居を跨げば七人の敵あり」ということわざがあるが、何が起きてもおかしくない現代社会、何事にも対処できるように日ごろからシミュレーションしておくのは重要である。
そんな危機回避シミュレーションの妄想で、中学時代くらいからぼくを支配してやまないのが「もし自分の意識が、オリンピック金メダルをかけた競泳・平泳ぎ100m男子決勝の飛び込み台の上に立つ、北島康介と入れ替わったらどうするか?」という状況である。



意識だけがそっくり入れかわるのでなく、能力そのものもぼくのものに入れ替わるので、当然水泳の能力は北島に劣る。さらに時代設定は全盛期北島である。国民の金メダルへの期待を一心に背負っているわけで、無様な泳ぎはできない。
さあ、どうするか。


何万回もこの状況をシミュレートしてきた自負があるが、何回やっても答えは一つだ。
昏倒である。正式にいうと、昏倒のフリである。もうこれ以外、誰も傷つかない方法はないだろう。五輪という極度にストレスフルな場面で意識を失うというのは、それなりに真実味があるし、プールでプカプカと浮く姿はかなりショッキングである。
さらに観客、視聴者から同情を買えるのも大きい。いくら北島になり切ろうと泳いだとしてもなり切れるわけがなく、無様な泳ぎを披露して世界中から奇異の視線を浴びるだけである。
これに比べたら昏倒の方が百倍マシである。

この妄想をぼくはこれまで、おそらく何千、何万回も繰り返しているが、妄想をするたびに「昏倒だな」「ああ、昏倒だな」「昏倒にちげーねぇな」「昏倒しかねーべ」と、自分の出した答えへの確信が深まっていった。


そしてつい最近、ふと会社でトイレに席を立ったとき思い立ったのが、「トイレに立ったとき突然、下半身を覆う衣服がすべて物理的に消滅してしまう」というシチュエーションである。
これはかなり難易度が高い。
なぜなら、トイレと会社をつなぐ道はひとつしかない。そこに股間を覆えるようなもの何もなく、会社には女性も一定層いるのである。この状況を脱する方法は果たしてありえるのか。

ここでも、実は答えは昏倒なのである。下半身全裸の状態でかなり勇気がいるところだが、オフィスの前の廊下で意識を失ったふりをして倒れておく。
あとは、通りかかった同僚社員(願わくば男性だが、こればかりは運に賭けるしかない)に見つけてもらうのを待つだけだ。起こされたら、目を覚ますフリをしながら追い剥ぎにあったことをうつろな表情で証言すればいいのである。
正直言うとこれでもだいぶキツい。キツいことはキツいが、第三者の悪意が介在しているという点が、だいぶあなたの心理的負荷を軽減してくれるだろう。


こうしてみてみると、昏倒という手段はかなり汎用性が高いことがわかる。
これを読んでいる読者も、よく覚えておいてほしい。本当に困ったことが起き、解決策もろくに浮かばないとき。
自宅で彼女と浮気相手がばったり鉢合わせ……乗っていた飛行機がテロ組織にハイジャックされた……上司からリストラ宣告された……彼女に「できちゃった」と言われた……などなど。
最後に一縷の望みをかけて昏倒してみる、というのはいかがだろうか?