いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】イコライザー 65点

デンゼル・ワシントン主演、クロエ・グレース・モレッツ共演のアクション映画。監督は『トレーニングデイ』『キング・アーサー『クロッシング』などのアントワーン・フークワ。

日本版の予告編で「必殺仕事人」的な雰囲気を醸し出しているが、これは結構ミスリード
ワシントンが演じるのはホームセンターの従業員ボブで、なにかと頼りになるため同僚たちから一目置かれているが、過去を語りたがろうとせず、どこかワケアリっぽい。
行きつけのレストランで馴染みの客の少女アリーナがクロエで、この子もワケアリっぽい。というかだいぶワケあり。
彼女はロシアから来た移民で、売春の元締めによって身体を売ることを強要されていたのだ。ぐぬぬ、クロエに売春させるなんて許せん、と言いつつ観客が彼女の豊満な二の腕・胸元に目を奪われている間も、ボブは何もしない。

おいおいどうしたボブ、と声をかけそうになるが、実は彼、開幕の時点では過去を隠してひっそりと生きるただのホームセンター従業員なのだ。
ここで観客は、彼にだいぶ待たされる。タメてタメてタメてタメて、ようやく彼は過去とともに封印した能力を、彼女のために使う決心をする。
ここまでにけっこう待たされるが、実はこのタメが、待ってましたというアクションシーンに効いてくる側面もある。
それにしても、ボブの過去がまたしても“例の組織”なのには、またかよと少しガックリした。辞めてった人が恐ろしい逸材という意味では、リクルートと映画の中でのあの組織は二大巨頭といえるのでは?
冒頭でマーク・トゥエインの「人にとって人生で最も大切な日は2つある。生まれた日と、生まれた意味がわかる日だ」(大意)という言葉が引かれるが、まさにこの映画は、彼が「自分が生まれてきた意味」――つまりそれは困っている人を助ける役割――を理解するまでを描いているといえる。


クロエは中盤以降最後のワンシーンまでこつ然と消えてしまうが、その反面でこの映画では、敵役のテディを演じたマートン・ソーカスのそれとなくマッドな存在感が際立っている。
「必殺」シーンや、クライマックスでのホームセンターでの恐怖のDIYシリーズなど、見所は散見するものの『トレーニングデイ』や『クロッシング』に通じ、なんとも地味目な雰囲気になってしまったのが、惜しいところか。