いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

加藤茶の異変から考えるお笑い芸人の"引退"

テレビ番組に出演した加藤茶の様子がおかしいと、相次いで指摘されている。


【エンタがビタミン♪】加藤茶、バラエティ番組でほとんど喋らず。「目がヤバイ」と心配する視聴者も。 - ライブドアニュース


4日放送の日本テレビ系「笑ってコラえて!」特番での様子がおかしかったという記事に始まり、


加トちゃん元気ない?鶴瓶が心配 - 芸能ニュース : nikkansports.com
加藤茶の「異常状態」鶴瓶も心配 - ライブドアニュース
NHK出演の加藤茶、「大丈夫か」と心配の声 目はうつろ、言葉少なく、ロボットみたいな歩行… : J-CASTニュース
目が死んでる加藤茶に、鶴瓶困惑 - 日刊サイゾー


9日に放送されたNHK鶴瓶の家族に乾杯」出演時の彼の様子を、各ネット媒体がほぼ同じ内容として書き立てている。ちなみに、カトちゃんの異変については、5月にブログに掲載された生気のない彼の画像も話題になっていた。


各媒体がこれだけ同じことを書くのだから、よっぽどである。ということで、「家族に乾杯」を視聴してみた。しまった! 見忘れた! という読者も、もしかしたらネットの片隅に誰かの善意が落ちているかもしれないので、諦めず探してみるように有料のNHKオンデマンドで視聴できるぞ。うん。


感想だが、記事は大げさでもなんでもなかった。以前の彼を知っている人なら誰がどう見たって、カトちゃんが変だと思うだろう。
笑福亭鶴瓶加藤茶である。一昔前なら軽妙なやり取りが見れると、期待できたはずだろう。
それどころではないのである。なんというか、お笑い芸人同士という対等な立場には思えないのだ。どちらかというと、2人のやり取りは介護する人と介護される人のそれに近い。
具体的にどういう様子かというと、すでに各メディアが書いているが、何よりもろれつが回っていないのが気になる。それに声に抑揚がない。会話への反応も鈍く、オウム返しが多くてアドリブが利かない。表情に乏しく、感情の起伏もない。歩きはするが、動作も鈍く力ないように見える。
こうして特徴を列挙してみると、なんだ高木ブーのことではないかと思えてくるが、ブーさんは若い頃からああだから心配はなく、カトちゃんの場合はそうでない分、よりいっそう心配なのだ。

番組後半で2人は別行動をとり、カトちゃんが一人で散策する。こんなことを書いたら怒られるかもしれないが、危惧したとおりまるで徘徊老人なのだ。道すがらに訪れた店の入口を間違うは、一般人の店員に会話をリードされているはで、散々である。繰り返すが、これが元々天然ボケなキャラのタレントならばいいのである。けれど、カトちゃんはそこで売っていた人ではない。

認知症では? という推測すらネットであがっているが、それはよくわからない。とりあえず、以前より衰えているということは確かだ。
何よりも、カトちゃんが「笑い者にしてはならない存在」になりかけていることが、悲しい。つまらないのではない。笑うのが気の毒なのだ。
なんとか番組の体をなそうとしているのか、カトちゃんのガチなボケに、昭和のお笑い番組ならではのおばちゃんたちの笑い声のSEがかぶせられているのだけれど、いやそれ、全然笑えねーから……。



この一件で考えたのは、お笑い芸人の「引退」である。管見では、明確な引退宣言をもってしてお笑い界から足を洗ったのは、上岡龍太郎氏と島田紳助氏だけだ。紳助氏については不祥事という要因があったものの、どちらも衰えるどころか、まだまだ現役バリバリの状態での引退だった。売れなくて引退という事例は腐るほどあるだろうが、第一線の芸人が「引退宣言」をしてスパッと業界から離れていく例は、ほとんどないのだ。

けれど、これからはそうした「引退宣言」において、身を引く姿があってもいいと思う。
なぜなら、カトちゃんみたいな姿が見たくないからだ。認知的な衰えは、お笑い芸人を「笑うのが気の毒な存在」にしてしまう。最終的には本人の勝手であるが、お笑い芸人がそうした存在になるのはアウトだと思う。

現在29歳のぼくは、ドリフターズ全盛期を目に焼き付けた世代ではない。けれどそれでも、カトちゃんのあの衰えようにはショックを受けたのだ。
これがもっと影響を受けた、なじみ深い芸人だったらどうだろう。
3月の「笑っていいとも!」最終回で、明石家さんまとんねるずダウンタウン爆笑問題ら大物芸人たちの夢の競演が実現した。あの壇上にいたスターたちも、10年、20年後にどうなっているか、わかったものではない。自分勝手だが、そうなってしまった彼らをぼくは見たくない。そこまでしてテレビにしがみついてほしいとは思えないのだ。
それなら、そうなる前に、芸人引退をかかげて、最後の花道を盛大に飾ってもらった方が、いいのではないだろうか?


カトちゃんに話を戻すと、今後介護などの問題に直面したとき、どうするのだろう。それが心配だ。
幸い、2011年に45歳年下の奥さんと再婚しており、この人がカトちゃんのために手料理を作り自身でネットショップも手がけているようだ。うん、本当に心配だ。